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コト飲み第7弾 大傳梅梅の洋館空間と北京ダック

コト飲み第7弾|大傳梅梅で味わう「記憶に残る場づくり」と中島武の生き方

コト飲み第7弾 大傳梅梅の洋館空間と北京ダック

コト飲みも第7弾です。今回はちょっと特別な回でして、16期の期首会議のあとの決起会、そして新しく仲間に加わったデザイナー・ヨシダさんの歓迎会を兼ねての一席。新しい期のスタートと、新しい仲間。この2つを祝うのに、どこへ行こか——散々迷って選んだのが、洋館×京町家の中国料理店「大傳梅梅(だいでんめいめい)」でした。

じつは私、東京で店舗デザイナーをやっていた頃、この店を運営する際(きわ)コーポレーションの店には、よう勉強しに通ってたんです。だから今回、京都で自分たちの節目にこの店を選べたのは、ちょっと感慨深いものがありました。今日はその一夜で感じたこと、そしてハシゴした二軒目での学びまで、まとめてお届けします。

この記事でわかること

  • 「円卓」がチームの空気をつくる、という発見
  • 賛否ある演出こそ、記憶に残るという逆説
  • “続きが気になる”空間構成の強さ
  • 78歳の今も鍋を振る、中島武という生き方から学べること

大傳梅梅(だいでんめいめい)ってどんな店?

まず店の説明を。大傳梅梅は、京都・下京区にある中国料理店です。いちばんの特徴は、なんといっても建物。大正時代に建てられた洋館と、明治時代から残る京町家が融合した、なんとも言えん異国情緒のある空間なんです。暖簾をくぐって一歩入ると、時代がひとつ巻き戻ったような、不思議なタイムスリップ感があります。

看板メニューは自家窯焼きの北京ダック。中国の伝統製法にならって、薪を焚いた自家製の石窯で焼き上げるという本格派で、皮はパリッと、身はやわらか。京都でここまでやってる店は、そうそうありません。運営はさっき触れた際コーポレーションで、代表の中島武さんは、外食業界では知らん人がおらんレジェンド。この店の一皿一皿の裏に、その哲学が効いてるわけです。

ロゴ入の迫力あるのれん

ロゴをあしらった迫力あるのれん。ここをくぐる瞬間から、もう体験は始まっている

円卓は、いちばん優秀な「チームビルディングの道具」かもしれない

今回いちばんの発見が、これでした。通されたのは、高い天井の、雰囲気のええ個室。そこに、9名でぐるっと囲める大きな円卓が置いてありました。この円卓が、想像以上に良かったんです。

なにが良かったって、全員の顔が見えること。長い四角のテーブルやと、どうしても端と端で会話が分断されて、いくつかの島に分かれてしまう。でも円卓は、誰か1人が話し出すと、その声が自然と全員に届く。みんなの表情が視界に入るから、会話がポンポン弾む。歓迎会と決起会という、まさに「チームをひとつにしたい日」に、この形はドンピシャでした。

これ、サッカーでいうところの中盤の”ひし形”みたいなもんやなと思うんです。選手同士の距離と角度が良いと、パスが自然に回る。逆に一列に並んでたら、前にしか出せへん。人の配置ひとつで、コミュニケーションの量が変わる。組織づくりも、店づくりも、根っこは同じですね。新しく入ったヨシダさんも、初日からすっかり輪に溶け込んでました。円卓、あなどれません。

高い天井の個室に置かれた9名用の円卓。顔が見えると、会話は勝手に回りだす

賛否あるけど、記憶に残る。入口の北京ダックという”仕掛け”

この店、入口を入って階段を登る手前の土間に、蒸したての北京ダックが何羽も吊るされてるんです。乾燥させてる途中のやつが、扇風機の風にあたって、ずらっと。初めて見ると、ちょっとギョッとします。正直、賛否あると思います。

でも、これがめちゃくちゃインパクトがあって、記憶に残る。帰り道、みんなが真っ先に話題にしてたのが、この吊るされたダックでした。マーケティングの世界に「顕著性(サリエンス)」という言葉があります。要は「思い出してもらえるかどうか」が勝負を分ける、という考え方。どれだけ良い店でも、忘れられたら次はない。その点、あのダックは強烈な”記憶のフック”になってるんです。

さらに席では、テーブルの横で職人さんが一羽の北京ダックをその場でカットしてくれる実演まである。目の前で皮がそがれていく音とライブ感。料理を「出す」んやなくて、「見せる」。この体験設計が、値段以上の満足をつくってます。万人受けを狙って角を丸めるより、好き嫌いが分かれてでも尖らせたほうが、記憶には残る。店づくりの大事な教訓やなと、あらためて思いました。

入って階段を登る前にあった北京ダッグとその実演

左:土間に吊るされた北京ダック。右:テーブル横でのカット実演。どちらも忘れられない一場面

どれも美味しかったコース料理
どれも美味しかったコース料理02

空間は「続きが気になる」と勝ち

デザイナー陣がこぞって気にしてたのが、空間構成。とくに、トイレに行くまでのアプローチが面白かった。歩いていくと、その先にもまだ空間が続いてて、「この奥、どうなってるんやろ」と、つい気になってしまう。建物全体に”続きがある”感じが、探検心をくすぐるんですね。

これは、洋館と町家をつないだ複雑な間取りが効いてる部分でもあります。まっすぐ見通せる箱型の店と違って、曲がった先に何かがある。人間は、全部が一目で見えてしまう空間より、ちょっとだけ隠れてる空間に心を惹かれます。次の角の向こうが気になるから、また来たくなる。回遊性のある建物は、それ自体がエンタメなんです。

細かいところも良かった。椅子の座り心地——これ、地味やけど超大事です。長い会食で最後まで心地よくおれるかは、椅子で8割決まります。そしてメニュー表のデザインが個人的にツボやった、という声も。建物の古い洋館の雰囲気、あちこちに漂うレトロな空気。細部の一つひとつまで世界観が貫かれてるから、居るだけで気分が上がる。店は、料理を食べる前から始まってる——それを体で教えてくれる空間でした。

💡 出店を考えてる方へ:空間に”余白と続き”を残す

全部を一目で見せきる店より、「奥に何かありそう」と思わせる店のほうが、記憶にも足にも残ります。既存建物のクセや段差、変な間取りは、消すべき欠点やのうて、物語をつくる素材。古い建物のリノベーションは、まさにその宝庫です。

78歳、今も鍋を振る。中島武という「積み直しの人」

大傳梅梅を語るなら、この人の話は外せません。運営する際コーポレーション代表の中島武さん。紅虎餃子房をはじめ、数え切れんほどの業態を生み出してきた、外食業界の”仕掛け人”です。

私がこの人を尊敬してるのは、最初から飲食一筋やなかったところなんです。もともとは航空会社に勤め、そのあと不動産や金融、衣料品の輸入など、いろんな事業を渡り歩いた。飲食の世界に本格参入したのは42歳のとき。それも、時代の荒波で一度いろんなものを失って、経験を積み直しながら築き上げていった道でした。回り道も、失敗も、全部が今の血肉になってる。この生き方に、私はめちゃくちゃ勇気をもらいます。

そして何より痺れるのが、78歳になる今でも、店の改装で自ら塗装をし、看板を書き、厨房に入って鍋を振るという現場主義。書道やイラストが特技という人やから、看板の一文字にも魂が宿る。ここまでの規模を築いた人が、いまだに自分の手を汚すことをいとわない。だから業界のみんなから、あれだけ慕われてるんやと思います。

中島さんが大事にしてるのは、単なる「おいしい店」やなくて、記憶に残る場づくり。この記事でずっと書いてきた、円卓も、吊るしダックも、続きのある空間も、全部その哲学の表れなんですね。私たちコトスタイルがやってる「コトづくり」も、根っこは同じ。だからこの店で決起会をやれたことが、余計にうれしかったんです。

二軒目・ONZE 11で聞いた「立たずに坂を登る」話

ええ夜は、たいてい二軒目に続きます。次に向かったのは、Brasserie Café ONZE 11。京都の経営者の会で面識のあった、オーナーシェフの山崎さんがちょうど店におられて、久しぶりにゆっくり話せました。

ハンバーガーショップBURGER ELEVENを立ち上げたときの苦労話や、趣味の話。なかでも印象的やったのが、山崎さんが自転車の話をしはるときの熱量。もう、スタッフ全員が釘付けでした。好きなことを語る人の目って、ほんまに人を惹きつけますね。

で、その話のなかで、へぇへぇへぇの連発やったのがコレ。坂道を自転車で登るとき、たいていの人は”立ちこぎ”をする。しんどいから、つい腰を上げてしまう。でも山崎さんいわく、ちゃんとした漕ぎの基本ができていれば、どんな急な坂でも立たずに登れるんやと。

これ、商売にもそのまんま効く話やなと、聞きながら唸ってました。しんどい局面ほど、人は”立ちこぎ”——つまり、力任せの一発逆転や、その場しのぎの無理——に頼りたくなる。でも、本当に強い人は、基本を徹底してるから、座ったまま淡々と坂を登っていける。派手さはなくても、基礎が全部を支えてる。ええ二軒目の学びでした。

まとめ:コト飲み第7弾で持ち帰った5つのこと

新しい期と新しい仲間を迎えた、第7弾のコト飲み。大傳梅梅とONZE 11で得た学びを整理しておきます。

  • ①円卓の力——顔が見える配置が、会話とチームの空気をつくる
  • ②尖った演出——賛否が分かれてでも、記憶に残るほうが強い
  • ③続きのある空間——一目で見せきらず、”奥”を残すと足が向く
  • ④積み直しの生き方——回り道も失敗も、全部が今の血肉になる(中島武さん)
  • ⑤基本の徹底——しんどい坂ほど、立たずに座って登れる基礎が効く(山崎さん)

店づくりは、料理や内装だけの話やありません。そこに流れる哲学、迎える人の生き方、そして訪れた人の記憶に何を残すか。大傳梅梅も、ONZE 11も、それを体現してる店でした。コトスタイルが目指す「記憶に残るコトづくり」も、まさにここにあります。「こんな店をやってみたい」という思いがあれば、物件探しから設計・施工、開業後の運営まで、京都・関西で私たちが伴走します。まずは気軽に話しにきてください。

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大傳梅梅の詳細やメニューは、際コーポレーション公式サイトの大傳梅梅ページもあわせてご覧ください。