コトスタイルができるまで
コトスタイル株式会社 代表取締役
穴澤陸平 ANAZAWA ROPPEI

  1. HOME
  2. 会社案内
  3. ヒストリー

〈はじめに〉
「人の成功を必死で応援する会社を創る」。これはコトスタイル株式会社が創業当初に掲げた企業理念です。企業理念とは、企業活動の源泉であり、最も大切な想い。
なぜ私たちはこのような理念を掲げていたのか?コトスタイルとはどんな企業で、どこを目指しているのか? 現在までを振り返りながらお伝えしたいと思います。

01)仕事が大好きな父

私が子どもの頃、父はよく仕事の話をしてくれました。ホテルの宴会販売を担当していた父は、「仕事は人生そのもの。厳しいこともあるが、大きな感動が得られる」と語り、誇らしげでした。しかし、仕事優先の父に反発していた時期もありました。どこにも連れて行ってもらえないことに不満を抱き、「何が仕事だ」と心の中で反発していたのです。それでも、成長するにつれ父の仕事の具体的な話を聞くうちに、「早く自分も仕事がしたい」と思うようになりました。そんな父は、私に「ろっぺい、何がやりたい?やりたいことを早く見つけろ」と問いかけ続けました。けれど、ある日父がリストラを告知されます。オーナーが変わり、突然その仕事を奪われた父の姿に、私は疑問と怒りを抱きました。
「なぜこんなにも仕事が好きな人が、突然辞めさせられるのか?」。それが、私の中に「自分の責任で仕事をしたい」という想いを芽生えさせました。「失敗するなら、自分の判断で失敗したい」。その時から、私の仕事観が形作られ始めたのです。独立するにはどうすればいいのか? 美術系大学で建築を学び、やがて「お店をつくる」という道に出会いました。

02)上司と仲間が教えてくれたこと

「学ぶなら東京へ行こう」と決意し、就職先では設計やデザインだけでなく、施工や営業まで幅広く学びました。独立を目指していましたが、そこで出会った上司や仲間が、働く楽しさを教えてくれたのです。
若い自分に多くの案件を任せてもらい、責任感を持って仕事に取り組む日々。お客様や職人さん、仲間との関係に支えられ、「この仕事なら独立できる」と確信しました。

ただ、現場で気づいた課題もありました。出店を目指すお客様の中には、物件選びや予算感に悩む方が多くいました。ときには予算を超える物件を契約してしまい、結果的に夢を断念する方も。そうした現実を目の当たりにし、「自分にできることは何か」を考えるようになりました。

03)コトスタイルのはじまり

お店づくりのプロである私にできることは何か。それを見つけるため、不動産コンサルティング企業へ転職しました。そこでわかったのは、不動産業界の限界です。不動産業者は物件を紹介する専門家であっても、その物件でどんなお店ができるのか、またどれくらいの予算でつくれるのかを考える視点が欠けていました。
お客様は物件を契約した後、自ら工事会社やデザイン会社を探さなければならず、そこに大きな手間とリスクが伴います。さらに、適切なアドバイスがないまま、予算以上の物件を契約してしまい、計画そのものを諦めることも少なくありませんでした。

「もし、物件選びから店舗づくりまで一貫してサポートできる仕組みがあれば、もっと多くの人が夢を実現できるはず」。

この想いが、コトスタイル誕生のきっかけです。
コトスタイルは、物件探しから設計、施工、融資の手配まで、すべてをワンストップで提供するサービスを目指しました。お客様一人ひとりと向き合い、予算感やスケジュールを共有しながら、最適な提案を行う。具体的なデザイン案や工事内容を提示し、信頼を得られれば施工を担当。必要であれば融資の支援も行い、出店までのプロセスを全面的にサポートする――これが私たちの使命です。
こうしてスタートしたコトスタイルは、ありがたいことに多くの方々に評価いただきました。12年間で300店舗以上のお店づくりに関わり、それぞれのお客様の夢の実現に貢献できたことは、私たちの誇りです。

出町柳にある飲食店鮓はやし様の完成写真。個店のお店の出店相談が多く、日本料理のお店から中華、イタリアン等ジャンルも幅広く、シュラン星付きの店舗まで手掛けている。

04)資金が底をつく試練

しかし、ここまでの道のりが順風満帆だったわけではありません。創業当初、私は不動産や建築の知識は持っていましたが、資金調達や事業計画の立て方には全く無知でした。
事務所を借りて家賃が発生する中、資金が尽きそうになる厳しい状況。そんな中で日本政策金融公庫と中小企業診断士の先生による創業セミナーに参加しました。セミナーで学び、事業内容をプレゼンしましたが、「この計画書では融資は難しい」と指摘されました。
何もかもが初めてのことばかりでしたが、「もう前に進むしかない」と腹をくくり、事務所で日々事業計画書と向き合いました。中小企業診断士の先生に何度も指導を受ける中で、自分が本当にやりたい事業が具体的な形になっていく感覚を得ました。
そして、ようやく融資を実現。しかしその頃には創業から半年が経過し、自己資金は底をつきかけていました。資金面の厳しさに追われながらも、この経験が事業計画の重要性を実感させ、私たちの事業基盤を形作る大切な教訓となりました。

写真は2016年に行った5周年記念祝賀会での記念撮影写真。たった一人で創業してから5年でこんなにもたくさんの仲間に出会うことが出来ました。

05)共に成長する場を創る

創業時、私にとって独立はあくまで「自分の目標」でした。しかし、事業を続けていく中でその考えは大きく変わりました。お客様だけでなく、理念に共感するスタッフ、職人さん、協力会社の皆さん――多くの方々と仕事をする中で、「この場が関わるすべての人にとって成長の場でありたい」という想いが芽生えたのです。

「絶対に成功するお店を創る」というミッションのもと、スタッフはお客様や職人さんと密接に関わりながら共に成長していきます。お店が完成したときのお客様の笑顔や感謝の言葉、職人さんからの「良い現場だった」との言葉が、私たちの大きな喜びです。
また、仲間が増えることで、私の責任の範囲も広がりました。それはプレッシャーではなく、「関わるすべての人が幸せになる企業を創る」という使命感として私を支えてくれています。

06)挑戦を糧に成長を続ける

理念に共感する人々が増え、コトスタイルは日々新しい挑戦をしています。お店づくりだけに留まらず、ロゴや販促物、Webサイトを作成するストアツール事業や、空き家をテナントとして再生するテナント開発事業。さらに、中古住宅の売買とリノベーションをワンストップで提供する「リノファク」や、お店づくり後のアフターフォローを行う「テンポカスタム」など、次々と事業を拡大してきました。

その一環として、コトスタイルが100%出資する株式会社グッドランプが運営する「枯らし熟成焼肉つつい」は、単なる飲食店の展開ではありません。私たちは、直接運営を通じて飲食業界のリアルな課題を深く理解し、設計・デザインだけでなく、店舗運営における視点を持った具体的な提案を行うことを目指しています。この取り組みは、お客様により価値あるサービスを提供するための重要なプロセスとなっています。
人が集まり、新しい挑戦が生まれる環境を育むこと。それがコトスタイルの強みであり、日々の成長を支える原動力です。

写真は2022年10年乗り続けた愛車エブリーとのお別れの記念撮影。ボコボコになるまで頑張ってくれたエブリーも大切な仲間の一人

07)コトスタイルが描く未来

人の成功を必死で応援する――それは、働く喜びを感じながら、多くの方々に支えられ、自分自身も成長していける素晴らしい機会だと考えています。これが、私たちが理念に込めた想いそのものです。
これからも、コトスタイルは人が集い、互いに成長を支え合える場であり続けたいと願っています。そして、お客様やスタッフ、協力会社の皆さまと一緒に、人の心に寄り添うデザインを通じて歩んでいきます。
お客様の夢を形にすることだけがゴールではありません。その過程を一緒に楽しみ、想いがカタチになった瞬間の喜びを分かち合いたい――それが私たちの願いです。

さらに、私たちの拠点である京都を、もっと魅力的で、想いが溢れる場所へ育てていきたい。10年後、30年後も、「社会をより良くする存在」であり続けたいと考えています。

経営者としてまだまだ成長途中ではありますが、ここまで来られたのは、スタッフや職人さん、協力会社の皆さま、そして何よりお客様のおかげです。コトスタイルは、多くの方々の想いに支えられてここにあります。これからも、人とともに成長を重ね、より良い未来を創り出していきたいと思います。

〈あとがき〉
これがコトスタイルの歩みと、未来への想いです。ここまでお読みいただきありがとうございました。
コトスタイルが次に描く物語を、ぜひ一緒に紡いでいきましょう。
出店を考えておらえれる方はもちろん、新しい仕事を探されている方すでに何かしらの仕事をされている方など、この先もいろいろな方にコトスタイルという場で出会える事を楽しみにしております。

最後までお読み頂きありがとうございました。