「大工さんの工事も終わったし、あとは仕上げてオープンを待つだけ!」
もしあなたが今そんな気持ちでいるなら、少しだけ気を引き締めてください。 飲食店の工事で本当にヒヤッとするトラブルが起きやすいのは、実はここからなんです。
仕上げ工事、そして何よりも大きな壁となる「厨房機器の搬入」。 この最終段階でのミスや見落としが、オープン日の遅延や余計な追加費用に直結することがあります。
今回は、京都・祇園町北側でオープン準備を進めていた居酒屋さんの工事現場を例に、 仕上げ工事から厨房搬入までの「現場の裏側」をそのままお伝えします。
担当のDesigner タナカです。 お店づくりの最終フェーズ、一緒に見ていきましょう。
仕上げ工事で「ただの箱」がお店になる
骨組みや壁の下地をつくる木工事が終わると、現場は一気に仕上げ工事へ突入します。 棚など木部の塗装、厨房天井の補修塗装、壁と天井のクロス貼り、床材の施工——。 この工程が進むと、今まで「工事現場の箱」だった空間が、劇的にお店の顔へと変わります。

今回の祇園の居酒屋さんでは、グレーのクロスとこげ茶の木材を組み合わせました。 このシックで落ち着いたコントラストが姿を現した瞬間、現場にいた私も「おっ、いい雰囲気!」とテンションが上がりました。 図面上の想像が現実になる、この瞬間がお店づくりでいちばん好きな場面のひとつです。


「イメージと違う」を防ぐために、現場へ足を運ぶ
この仕上げの段階で「あれ、選んだクロス、サンプルより少し暗いかも…」という違和感を覚えるオーナーさんは少なくありません。
小さなサンプルで見る色と、実際に広い壁に貼られた色では、照明の当たり方で見え方が変わります。 カタログと現場は全然違う。 だからこそ、この時期はできるだけ自分の目で確認しに来てほしいと思います。
「少し違うな」と早い段階で気づければ、照明の色温度やインテリアの配置で調整できる余地が残っています。 任せきりにしないで、現場に足を運ぶ。そのひと手間が、後悔のないお店づくりにつながります。
仕上げ工事の工程と、テナント工事でかかる費用の目安
「仕上げ工事」という言葉は漠然としているので、実際に何をするのかをまとめます。
※坪数・素材グレード・施工条件によって大きく変わります。上記はあくまで目安です。
テナント工事全体の費用感は「坪単価」でざっくり把握するのが一般的です。 飲食店の場合、内装工事の坪単価は30〜60万円程度が一般的な目安。 ただしこれはあくまで目安で、スケルトン物件か居抜き物件かによって大きく変わります。
居抜きとスケルトン、費用の差はどこに出る?
居抜き物件はそのまま使える設備が残っているので初期費用を抑えやすい反面、前テナントのコンセプトに引きずられた中途半端な内装になりがちです。一方スケルトン物件はゼロから自由に設計できますが、工事費はその分かかります。どちらが得かは「業態のコンセプト」と「物件の状態」次第です。
現場のプロでも毎回緊張する「厨房機器の搬入」
仕上げ工事が進んできたら、次はいよいよ飲食店の心臓部ともいえる厨房機器の搬入です。
「冷蔵庫やシンクを運ぶだけでしょ?」と思うかもしれませんが、これが毎回独特の緊張感を生みます。 何十キロ、場合によっては何百キロもある鉄の塊を、傷をつけずに狭い搬入経路を通して、パズルのように厨房へ収めていく。 それが厨房搬入です。

「入口のドアを通らない!」「カウンターの高さに引っかかる!」 事前の採寸や段取りに少しでも狂いがあると、その日のうちに厨房は完成しません。 タイトなスケジュールの中で、これは致命傷になります。
搬入が遅れると、すべてがドミノ倒しになる


機器がピタッと収まった瞬間、思わず安堵の息が漏れます。 厨房機器が設置されて初めて、電気の配線やガス・水道の配管を機器につなぎ込めるようになる。
逆に言うと、厨房搬入が何かのトラブルで遅れると、その後の配管工事も、保健所の検査も、調理トレーニングも——すべてがドミノ倒しのように止まります。 「機器の手配が遅れた」「搬入経路の確認が甘かった」というちょっとしたミスが、オープン日を数日、あるいは数週間ずらしてしまうことがある。 だから現場の人間は、厨房搬入の日を特別な目で見ています。
厨房搬入で失敗しないための5つの事前確認
現場で実際に起きたトラブルをもとに、搬入前に確認しておくべきポイントを整理します。
特に多いのが「搬入経路の採寸ミス」です。 カタログスペックの機器サイズで確認していたけど、実際は梱包材込みで入口を通れなかった——という事例は現場でよく聞きます。 採寸は必ず梱包込みで、現地で実測してください。
小さな厨房を救う「多機能機器」の選び方
今回の現場で特に目を引いたのが、フードの下に設置された大きめの箱型の機器——グリラーです。
このグリラー、ただ焼くだけの機械ではありません。 同時並行で複数の調理ができて、メニューに合わせた使い方ができる、非常に優秀な機器です。 どんな調理に使えるかは、ぜひオープン後に店主さんに聞いてみてください。
個人規模の居酒屋やカフェでは、厨房スペースは限られています。 ワンオペか少人数で効率よく注文を回さないといけない。 そんなとき、単機能の機器をいくつも並べるより、一台で何役もこなしてくれる多機能な機器を選ぶほうが、毎日の営業を楽にしてくれます。
機器選びは「メニューを絞り込む」ことが出発点
「どんな厨房機器を入れればいいかわからない」という声はよく聞きます。 答えはシンプルで、すべて「自分が提供したいメニュー」の中にあります。
「とりあえず何でも作れるように」と使わないかもしれない機器を詰め込んでも、厨房が狭くなってスタッフの動線が悪くなるだけです。 まず「絶対に出したい看板メニューは何か」を極限まで絞り込む。 そうすれば、本当に頼るべき機器がおのずと見えてきます。
現場からのひとこと
機器の選定は内装設計の段階から並行して進めるのが理想です。厨房レイアウト・動線・排気ダクト・電気容量はすべて連動しています。「機器を買ってから内装を考える」という順番だと、後から変更が発生しやすくなります。
テナント工事の全体の流れを把握しておく
今回の仕上げ工事・厨房搬入は、テナント工事全体の終盤にあたります。 全体の流れを把握しておくと、「自分の現場がどの段階にいるか」がわかります。
こうして見ると、仕上げ工事と厨房搬入は「終わりに見えて、まだ後がある」フェーズです。 引き渡しまでに何が残っているかを把握した上で、オープン日を逆算して決めることが大事です。
まとめ:仕上げのワクワクと、厨房搬入のヒリヒリを乗り越えて
仕上げ工事でお店の顔が生まれ、厨房搬入で心臓が動き始める。 この両方を無事に乗り越えて初めて、あなたのお店はお客さんを迎え入れる準備が整います。
今回レポートした祇園町北側の居酒屋「お酒とお料理 来春(きはる)」さんは、この後さらに家具の搬入・看板取付を経て、無事にオープンを迎えました。
「厨房機器がちゃんと入るか不安」「どんな仕上げ材を選べばいいかわからない」 そんなモヤモヤを一人で抱えているなら、ぜひコトスタイルに相談してください。 物件探しからデザイン、そして一番緊張する厨房搬入の段取りまで、一箇所に相談すればすべてが揃います。
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