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京都 繁盛店 清水五条 鬼とうふ 店舗内装 オープンキッチン 飲食店設計

コト飲み第5弾|2人で満席を回す繁盛店の正体。清水五条「鬼とうふ」に学ぶ、予算のメリハリとオペレーションの設計

京都 繁盛店 清水五条 鬼とうふ 店舗内装 オープンキッチン 飲食店設計

先日、久しぶりに清水五条エリアを夕方に歩いたんです。

観光客の波が引いた時間帯で、石畳の路地に柔らかい光が差し込んでいた。「このエリア、夜も人が来るんやろか」なんて考えながら歩いていると、明らかに賑わっているお店が目に入りました。

鬼とうふ外観 ファサード

それが今回の舞台、「鬼とうふ」さんです。

コトスタイルのスタッフで定期的に京都の繁盛店を訪問する「コト飲み」、今回が第5弾。美味しいお酒をいただきながら、プロの目線で「このお店がなぜ売れているのか」を解剖する会です。

鬼とうふさんを運営しているのは、日本茶スタンド「八十八良葉舎」などを大ヒットさせた株式会社room。社長さんは元々コーヒーの世界でキャリアを積まれた方で、「抹茶」「国産砂糖」「国産大豆」と、日本の伝統的な食材にフォーカスしたブランドを次々と展開されています。

訪問してすぐに感じたことがありました。

「このお店、お金のかけ方が絶妙やな」

予算を絞っている部分と、惜しみなく投資している部分が、はっきり分かれている。その「メリハリ」こそが、このお店の繁盛の核心だと思いました。

この記事では、開業を目指す方が「どこにお金をかけ、どこを削るべきか」を具体的にイメージできるよう、鬼とうふさんの空間設計とオペレーションを現場視点で紐解いていきます。

📋 この記事でわかること

  • 「予算のメリハリ」——お金をかける場所・削る場所の判断基準
  • 目線の高さと席の距離感が「また来たい」を生む理由
  • たった2名で満席を回す「2オペ」を可能にした仕組み
  • 「説明しなくても売れるメニュー」の作り方
  • ブレないコンセプトが繁盛店を生む構造

「お金をかけない勇気」が空間を決める

繁盛店は「全部よくしよう」とは思っていない

開業を相談しに来る方の多くが、最初にこう言います。

「床も壁も天井も、全部ちゃんとしたいんですよね」

その気持ちはよくわかります。自分のお店だから、隅々まで納得できるものにしたい。でも、これが予算オーバーの最大の原因になることが多い。

鬼とうふさんに入って最初に感じたのは、「ここはお金をかけていない」という部分が明確にある、ということでした。

あえて何もしていない部分、素材感をそのまま出している部分、既製品をうまく使っている部分——それが「安っぽい」とは微塵も感じない。むしろ、そこに心地よい「抜け感」が生まれていました。

「体感ゾーン」にだけ集中投資する

店舗内装の費用を配分するとき、私が大切にしている考え方があります。

お客様が「手で触れる・目で見つめる・ずっと目に入る」場所にだけ、お金をかける。

たとえばカウンター天板の素材感、照明の色と高さ、入口の扉——これらはお客様が必ず意識する「体感ゾーン」です。逆に、天井の隅や床下の仕上げは、お客様の目にほとんど入らない。

鬼とうふさんは、オープンキッチンのカウンター周辺と照明計画に明らかに予算を集中させていた。一方で、壁の仕上げなどはシンプルに抑えている。

この「引き算」があるからこそ、空間に余白が生まれ、料理とオープンキッチンの臨場感が際立って見えるんです。

内装予算の「かける・削る」判断基準

✅ お金をかけるべき場所

カウンター・レジ台の素材感 / 照明の色・高さ・配置 / 入口・ファサードのデザイン / お客様の手が触れる什器・テーブル

💡 コストを抑えられる場所

天井の隅・壁の上部 / スタッフのみが使うバックヤード / お客様から見えない床下・配管周り

「全部よくしよう」ではなく「ここだけは絶対に妥協しない」と決める。この覚悟が、予算の中で最大限の空間をつくる唯一の方法だと思っています。

繁盛店は「目線」と「距離感」を設計している

「床の高さ」が決める、居心地の正体

設計者として「これは上手いな」と思ったのが、テーブル席の床の高さでした。

一部の床を少し上げることで、オープンキッチンで立ち働くスタッフとお客様の目線の高さが自然に合うように設計されていました。

「目線の高さ」って、実はお店の居心地に大きく影響します。スタッフが自分を上から見ている感覚があると、お客様は無意識に緊張します。逆に、同じ目線か少し低い位置から話しかけてもらうと、自然と肩の力が抜ける。

床の高さを数センチ変えるだけで、お客様の「また来たい」が変わることがあります。これが、見えない設計の力です。

「詰め込まない」が売上を守る

席と席の距離感も、印象的でした。隣のテーブルとの距離が、ゆったり取られている。

売上を急ぐあまり、狭い店内にギリギリまで客席を詰め込んでしまう開業者を、私はこれまで何人も見てきました。気持ちはわかります。1席でも多いほうが売上が上がる、という計算です。

でも、現実はそうならないことが多い。

窮屈さを感じたお客様は、料理の感想よりも「狭かった」という記憶を持ち帰ります。そしてリピートしない。1席増やして得た売上より、リピーターを失った損失の方が、長い目で見ると大きくなる。

サッカーで言うと、ゴールに近いからってむやみにシュートを打っても決まらない。ポジショニングが整っているときに打ったシュートの方が、確実に決まる。客席の配置も同じかもな、と思っています。

「また来たい」と思ってもらえるお店は、目線のコントロールと適切な距離感の設計から生まれています。これは、図面の段階で決まります。

2人で満席を回す——待たせない仕組みの正体

「気合いと根性」では続かない

鬼とうふ メニュー写真01

この日、店内はほぼ満席でした。それなのに、スタッフはたった2名(2オペ)。

驚いたのは、料理もドリンクも「絶妙に待たせない」リズムで出てくることです。スタッフが走り回っているわけでもなく、ピリピリした空気もない。なのに、回っている。

鬼とうふ メニュー写真02

開業してしばらく経った経営者の方からよく聞く言葉があります。

「人が足りない、でも人件費が増やせない。毎日ギリギリで回している」

個人の体力とマンパワーに頼った運営は、いずれ限界を迎えます。経営者が倒れた瞬間にお店が止まるような仕組みは、長く続けられない。

長く続くお店をつくる本質は、気合いや根性ではなく「仕組みの設計」にあります。

2オペを可能にした3つの設計

鬼とうふさんが2オペで回せているのは、偶然でも根性でもなく、3つの設計が噛み合っているからだと思いました。

① 無駄のない動線設計

オープンキッチンで、料理の提供・受け取り・片付けの動線が交差しない。1歩でも歩数を減らすことで、少人数でもスムーズに回せる仕組みが生まれています。

② 「出しやすいメニュー」の工夫

盛り付けが複雑すぎず、でも見た目のインパクトが強い。提供にかかる時間が短く、なおかつお客様が「うわぁ」と感動するバランスが計算されています。

③ お客様が「気を使わなくていい」空間

隣の席との距離が適切で、オープンキッチンとの目線が自然。お客様が自分のペースで過ごせるため、「早く頼まないと」「呼びにくい」というストレスが生まれにくい。

動線・メニュー・空間設計の3つが同じ方向を向いているから、少人数でも満席を回せる。どれか一つが欠けると、途端に無理が出る。

「オペレーションは運営の問題」と思われがちですが、実はその大部分が設計段階で決まります。図面を引くときに「スタッフが1日どう動くか」を一緒に考えるのが、コトスタイルのやり方です。

「説明しなくても売れる」メニューの作り方

料理が「語る」お店はスタッフが楽になる

鬼とうふさんのメニューには、「猪肉の肉どうふ」など、他ではなかなか見かけない料理が並んでいます。

鬼とうふ メニュー写真05

実際に注文して驚いたのが「見せ方」の巧みさでした。麻婆豆腐はそのままの状態で運ばれてきて、客が自分でカットしていただくスタイル。インパクトのある器と、食欲をそそる立体的な盛り付け。料理が運ばれてきた瞬間に、思わず「うわぁ」と声が出た。

鬼とうふ メニュー写真03

ここで気づいたことがあります。

鬼とうふ メニュー写真04

料理そのものの説得力が強いと、スタッフが長々と説明しなくても価値が伝わります。「これ、なんですか?」とお客様から聞いてくれる。スタッフの説明コストが大幅に下がります。

デザートで出てきたのは、同じ会社が運営する「八十八良葉舎」の抹茶アイスでした。

鬼とうふ メニュー写真 抹茶アイス 八十八良葉舎

これが、あまりにも濃厚で美味しかった。

その夜、帰りの電車の中でスタッフの一人がスマホを取り出して、オンラインで八十八フィナンシェを注文していたそうです(笑)。

「また食べたい」より先に「今すぐ買いたい」が動いた。これが、ブランドの体験の力だと思いました。

「見た目が語る料理」は、接客の負担を下げながら、同時にお客様の満足度を上げる。一石二鳥の設計です。

「インスタ映え」より「思わず話したくなる」

SNS映えという言葉がよく使われますが、私は少し違う視点で考えています。

「写真に撮りたい」よりも、「誰かに話したくなる」体験の方が、長期的な集客には強い。

鬼とうふの料理を食べた後、誰かに「これ、すごかったわ」と話したくなる——その気持ちが口コミを生みます。SNSの拡散より、リアルな会話による口コミの方が、来てくれたお客様の質が高いことが多いと感じています。

だから、メニューを考えるときに問うべきは「映えるか?」より「話したくなるか?」かもしれへん。

日本の食材を「体験」に変えるブランド力

コンセプトが「選ぶ理由」を作る

鬼とうふさんを訪問して、もう一つ強く感じたことがあります。

「節分の鬼ですら食べたくなる豆腐」というコンセプト。昼はカフェ(豆花)、夜は居酒屋という二面性。この設計が、ただ「豆腐料理のお店」との決定的な差を生んでいます。

豆腐は日本中どこにでもある食材です。でも「鬼とうふ」のコンセプトを纏った豆腐料理は、他のどこにもない体験になっている。

これはブランドの本質です。同じ素材、同じ料理でも、「誰に・どんな文脈で・どんな空間で」提供するかで、お客様が感じる価値はまったく変わります。

「良いもの」があっても「見せ方」がなければ伝わらない

コトスタイルでこれまで300件以上の開業支援に関わってきて、一つ痛感していることがあります。

どんなに良い食材・技術・思いを持っていても、それを「どう見せるか」「どんな空間で味わってもらうか」が設計されていなければ、お客様の心には届かない。

鬼とうふさんの社長は元々コーヒーの世界の方ですが、コーヒーで培った「素材の体験化」という視点を、抹茶・砂糖・豆腐へと応用し続けています。素材への深いリスペクトと、それを「体験」として届ける設計力の両方が揃っているから、ブランドが育つのだと思いました。

「あなたのお店は、誰にどんな体験を届けますか?」

この問いに答えられるとき、空間の予算配分も、メニューの作り方も、スタッフの動線も、すべての答えが自然に出てくる気がします。

まとめ|繁盛店に共通する「3つの方向」

コト飲み第5弾、鬼とうふさんから学んだことを整理します。

美味しい猪肉の肉どうふを食べながら、プロとして「なぜここが繁盛しているのか」を考え続けた夜でした。

  • 空間設計の「引き算」:全部よくしようとせず、お客様が体感する場所だけに集中投資する
  • 目線と距離の設計:床の高さ、席の距離感が「また来たい」を生む。詰め込まない勇気が長期的な売上を守る
  • 2オペを可能にする仕組み:動線・メニュー・空間の3つが同じ方向を向いたとき、少人数でも回せるシステムができる
  • 料理が語るメニュー設計:見た目の説得力が強いと、スタッフの説明コストが下がり、口コミが生まれる
  • ブレないコンセプト:良い素材があっても、「誰に・どんな空間で・どんな体験として」を設計しなければ伝わらない

これら全部が同じ方向を向いたとき、初めて「選ばれるお店」になります。

「自分のやりたいことはある。でも、どう空間や仕組みに落とし込めばいいか分からない」——そんな方の声を、コトスタイルはたくさん聞いてきました。

物件探しから設計・施工まで、一箇所に相談すればすべてが揃うワンストップで、あなたのお店づくりに伴走します。

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