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木屋町でバー開業するなら知っておきたいテナント・居抜き・内装の完全ガイド【京都】

休みの日にふらっと市内を歩いていると、路地の奥に小さな灯りが見えることがあります。階段を上がった先にバーがあるとわかっていても、「入っていいんかな」と少し迷う。でも、その迷いが妙に心地いい。あの感じ、私はめっちゃ好きなんです。

木屋町でバーを開きたいと相談に来られる方は、だいたい同じような感覚を持っています。「なんとなくここでやりたい」という直感が先にある。その感覚は本物だと思います。ただ、その感覚を形にするためには、このエリア特有の物件事情と内装の作り方を知っておく必要があります。

結論から言うと、木屋町は「狭くて、古くて、入りにくい」という三拍子が揃っているエリアです。でもその三拍子が、うまく使えば最高の武器になる。今回はその話をしたいと思います。

木屋町でバー開業するためのテナント相場と契約の特徴

木屋町のバー向けテナント賃料相場はどれくらい?

木屋町でテナントを探すとき、最初に知っておいてほしいのは「1Fと2F以上でかなり違う」ということです。

路面の1Fは視認性が高い分、賃料も高め。四条〜三条の間でいうと、坪単価2.5〜4万円が目安です。でも2F・3Fになると、同じビルでも半額以下になるケースがある。これ、私はすごくおもしろい逆転だと思っていて。空中階だからこそ「隠れ家」感が出るわけです。目立たないことが、コンセプトの核になる

エリア坪数目安月額賃料(坪単価)備考
木屋町通り沿い(1F)5〜15坪2.5〜4万円/坪繁忙期は物件争奪戦
木屋町通り沿い(2F・3F)5〜20坪1.2〜2.5万円/坪空中階で隠れ家感◎
先斗町・周辺横丁5〜12坪2.0〜3.5万円/坪路地裏の人気エリア
四条河原町近辺(木屋町外れ)10〜30坪1.0〜2.0万円/坪比較的物件数あり

※2024年時点の観測値です。築年数や契約条件によってかなり変わります。

木屋町のテナントがバー開業に向いている3つの「個性」

木屋町の物件には、他のエリアではなかなか見ないクセがあります。これを事前に知っておくかどうかで、物件選びの判断がぜんぜん変わってきます。

  • 狭小物件が多い:5〜10坪未満が市場の約4割。「10坪も要らない、カウンター8席で十分」と思える人には、むしろ好都合です
  • 空中階・路地奥が多い:2F以上、もしくは通りから奥まった場所にある物件がとにかく多い。入りにくさをどう転換するかが腕の見せどころ
  • 築古と京町家が混在:昭和の雑居ビルから築100年近い京町家まで、ひとつの通りに共存しています。設備の現況確認は念入りに

木屋町でテナント契約する前に確認したい注意点

物件を気に入ったとき、「雰囲気がいい」だけで決めてしまうと後で痛い目を見ることがあります。特にバー業態は設備まわりの確認が重要です。

✔ 換気・排気ダクトの引き込みが可能か(空中階は特に要注意)
✔ 電気容量:バーなら最低30A、カクテル機器やフードがあれば50A以上
✔ 給排水の状況(居抜きなら前テナントの設備がどこまで使えるか)
✔ 防音性能:深夜営業するなら近隣への音漏れを必ず確認
✔ 消防法上の用途確認(用途変更が必要なケースもある)
✔ 「深夜酒類提供飲食店営業」の届出エリア要件を確認

木屋町でバー開業するなら居抜き物件も選択肢になる

「居抜き物件」というのは、前のテナントが使っていた内装や設備がそのまま残った状態の物件のことです。木屋町エリアでは、スナックやバーの居抜きが定期的に出回ります。スケルトンから作るよりも初期費用が大幅に抑えられる一方で、「前の店のイメージを引きずる」というリスクもある。私がいつもお伝えしているのは、コストメリットだけで飛びつかないでほしい、ということです。

木屋町の居抜き物件でバー開業するメリット・デメリット

カウンター・バーシンク・製氷機・冷蔵庫が揃っている居抜きなら、スケルトンと比較して200〜500万円の節約になることもあります。工期も短縮できて、最短1〜2ヶ月で開業できるケースもある。これはめっちゃ大きい

ただ、落とし穴もあります。

  • 前テナントのイメージが残る:「あそこ、前はスナックやったよな」という記憶は、意外と長く続く
  • 隠れた不良が開業後に出てくる:設備の老朽化、臭い、床下の問題——表からは見えないところに潜んでいることが多い
  • コンセプトと内装が合わない:結局スケルトンに近い状態まで解体する羽目になって、居抜きの意味がなくなるケースも

10坪前後の小箱バーに合う居抜き物件の考え方

10坪って、ざっくり言うと3LDKのリビングより少し広い程度です。「狭い」と感じる方もいますが、バーにとっては必ずしもそうじゃない。むしろ小さい空間だからこそ、バーテンダーとお客さんの距離が縮まる。それが体験の質になるんです。

私がよく言うレイアウトのポイントは5つです。

  • カウンター優先:「L字型」か「一文字型」を軸に。バーテンダーとゲストの距離感がすべて
  • 動線は一方通行:厨房〜カウンター〜客席を一直線にすることで、狭くてもオペレーションが成立する
  • バックバーを「壁面アート」にする:ボトルの陳列を見せ方で工夫すると、奥行きが生まれる
  • 高さで広がりを作る:天井を抜く、鏡を使う——体感面積は広げられる
  • 素材は2〜3種類に絞る:ブリックタイル・無垢材・アイアンなど、素材を絞ると狭くてもまとまって見える

木屋町の居抜き物件は、内装と設備をプロと確認して判断する

居抜きを内見するとき、一人で行くのはリスクがあります。「いい雰囲気やん」で終わってしまうから。できれば工務店かデザイナーを連れて行って、一緒に「見えないところ」を確認してほしいです。

① 臭いを確認する:排水管の老朽化や前業態の影響で、開業後もニオイが残ることがある
② 床・壁・天井の傷み:表面リフォームで隠れているケースが多い
③ 設備の稼働確認:冷蔵庫・製氷機は実際に動かす。コンプレッサー音が大きければ交換が必要
④ 天井裏・床下:「見えないところ」に問題が潜んでいることがある
⑤ 夜に来てみる:深夜の騒音レベルや近隣の雰囲気は、昼間に来てもわからない

入りにくい?を解消する入り口・看板のデザイン事例

木屋町の空中階や路地奥テナントで、いちばん多く聞く悩みが「入りにくい」という問題です。「階段の先に何があるかわからない」「扉が重そう」——お客さんがそう感じた瞬間に、その人は通り過ぎてしまう。

ただ、この「入りにくさ」は、デザインで確実に変えられます。

「入りにくい」を分解すると、こうなります

お客さんが足を止めない理由は、突き詰めると3つです。

  • 情報不足:何の店か・どんな雰囲気かがわからない
  • 価格不安:「高そう」「一見さんお断りかも」という先入観
  • 物理的な壁:暗い階段、重い扉、何も書いていない外観

これを一つずつ解消していくのが、入口・看板デザインの仕事です。

「上がってみたい」と思わせる、5つの手法

① 階段を「見せる」デザイン

2F以上の物件では、1Fから見える階段の演出が勝負です。足元を照らすフットライト、踊り場の小さな黒板、アイアンの手すりとグリーンの組み合わせ——「上がってみたい」と思わせる仕掛けで、階段そのものをファサードに変えてしまう。これ、やっぱりすごく効くんです。

② 「ちょっとだけ見える」半開きの演出

完全にクローズした扉より、内側の雰囲気が少し漏れてくるほうが人は引き寄せられます。扉の一部をガラスにする、木格子越しに灯りが見える構造にする。谷崎潤一郎が「陰翳礼讃」で書いたような、薄暗がりに惹かれる感覚と近いかもしれません。見えそうで見えない、あの「間」が大事

③ 看板はシンプルに「絞る」

情報を詰め込みすぎた看板は、かえって安っぽく見えます。店名・ジャンル(BAR)・営業時間の3点だけを、真鍮や焼き板など素材にこだわったサインで表現するだけで十分です。「何屋かわかればいい」——それ以上の話は、店内でゆっくりすればいい。

④ 小さなメニューボードで価格の不安を消す

ドリンク3〜5品と価格帯が書かれた小型のブラックボードは、価格不安を取り除くいちばん簡単な方法です。「ハイボール 700円〜」の一行が、迷っていたお客さんの背中をそっと押してくれます。

⑤ 照明で「温度」を作る

外から漏れる光の色は、バーの世界観を体験する前から伝える最強のツールです。電球色(2700〜3000K)のダウンライトやペンダントライトを入口付近に置くだけで、印象が大きく変わります。「暖かそう」「居心地よさそう」——その感覚は、光の温度から来ています。

「入りにくさ」を逆手にとる、という考え方

あえて入口を目立たせない「隠れ家コンセプト」は、SNS時代において最強のマーケティング戦略のひとつだと私は思っています。「知る人ぞ知る」「教えたくなる」という感情が生まれると、口コミやインスタグラムでの自然な拡散が起きます。

木屋町という「ちょっと迷いながら辿り着く」立地は、このコンセプトと相性が抜群です。ただし、コンセプト型と初心者歓迎型では、入口デザインの方向性が180度変わります。どちらを目指すのかを先に決めておくことが、すべての判断の軸になります。

木屋町でのバー施工実績紹介

私たちコトスタイルでは、これまで木屋町エリアを中心にバーや飲食店の内装施工を手がけてきました。ここでは3件の事例をご紹介します。

事例①:空中階スナック居抜きをウイスキーバーに転換(木屋町三条上ル)

築40年の雑居ビル3F、8坪のスナック居抜き物件でした。低い天井、古びた内装、そして床に染み付いたニオイ——正直、最初に見たときは「これは大変やな」と思いました。

でも、解体してみるとコンクリートの骨格が思いのほかきれいで。スケルトンに近い状態まで一度剥がして、天井を抜いて高さを確保しました。床はモルタル仕上げ、壁は煉瓦調タイルと杉板。1F入口には真鍮プレートのサインと、アイアン製のカゴにドライフラワーを添えた什器を置きました。

  • 施工内容:解体・天井撤去・モルタル床・煉瓦タイル+杉板壁・真鍮サイン
  • 結果:開業3ヶ月でInstagram経由の新規客が全体の4割を超える繁盛店に
  • 施工費用目安:350〜400万円(居抜き解体費含む)

事例②:路地奥の京町家をダイニングバーにコンバージョン(先斗町周辺)

木屋町から一本入った路地にある、築70年の京町家です。「これを壊したらあかん」という梁と柱が複数あって、給排水も引き直しが必要で。制約だらけのプロジェクトでした。

ただ、制約があるからこそ面白いことができた。柱や梁を「デザイン要素」として見せる構造美に転換して、土壁の一部をあえて残しました。格子戸の内側から見える坪庭にスポットライトを当てると、夜は外から緑と光が見える。通りがかりに立ち止まる人が続出して、それが一番の「入口デザイン」になりました。

  • 施工内容:構造補強・土壁補修・坪庭照明・格子戸演出
  • 結果:外国人観光客を中心に「京都らしいバー体験」として高評価
  • 施工費用目安:600〜750万円(構造補強費含む)

事例③:7坪ミニマルバー(木屋町四条近辺)

「引き算を極める」というテーマで相談に来られた方でした。7坪、一文字カウンター8席のみ。スケルトン物件で設備ゼロ、予算も限られていた。

カウンター材はオーク無垢材を選んで、バックバーは既製品シェルフをカスタムペイントして費用を圧縮しました。照明はすべてDMX調光対応にして、時間帯によって空間の雰囲気を変えられるようにした。扉はオール木製のスウィングドア。小窓に店名だけエッチングしました。めっちゃいいやん、と思いました。

  • 施工内容:オーク無垢カウンター・カスタムペイントシェルフ・DMX照明・スウィングドア
  • 結果:開業前からSNSで施工写真が拡散し、プレオープン当日から満席
  • 施工費用目安:180〜220万円(設備込み)

工事費の目安と、変動する要因

木屋町エリアでのバー開業における内装工事費は、坪単価30〜70万円が目安です。居抜きをうまく使って、コンセプトを絞り込むことができれば、予算を抑えながらも個性のある空間が作れます。

【工事費が変動する主な要因】
・スケルトンか居抜きか(居抜きは最大40%コスト削減の可能性)
・構造補強の有無(京町家リノベでは追加費用が発生しやすい)
・設備工事の範囲(電気容量増設・給排水引き直しの有無)
・仕上げ材のグレード(タイル・無垢材・アイアンの使用量)
・照明計画の複雑さ(調光・間接照明はコスト増だが効果は大きい)

おわりに

「狭い・古い・入りにくい」という木屋町の三拍子は、見方を変えると全部、唯一無二の体験価値になります。それを形にするには、このエリアのことを本当に知っているパートナーと一緒に動くのが、結局いちばん早い。

コトスタイルでは、木屋町・先斗町エリアでの施工実績をもとに、テナント選定の段階からご相談を受けています。「まだ物件が決まっていない」という段階でも、ぜひ声をかけてください。

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