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- 店舗の設計施工は分離発注と一括どっちが正解?失敗しない発注方式の選び方


先日、ひさしぶりに時間ができたので、京都の街をぶらぶらと歩いていました。あたらしくできたカフェ、しばらく見ないうちに雰囲気の変わった居酒屋。お店の顔ぶれは、いつのまにか少しずつ入れ替わっています。
ふと、一軒のお店の前で足が止まりました。きれいな内装なのに、なんだか使いにくそうな動線。せっかくの良い物件なのに、もったいないなあ、と。お店づくりは、デザインの良し悪しだけで決まりません。「誰に、どう頼むか」で、仕上がりも、かかるお金も、まったく変わってきます。
私はコトスタイルで、京都の店舗開業を、物件さがしから設計・施工まで、ワンストップでお手伝いしています。これまで300件以上のお店づくりに関わってきました。その中でいちばんよくいただくご相談のひとつが、これです。
「デザイン会社と工事会社は、べつべつに探すべきですか?」「それとも、設計から施工までまとめて頼める会社のほうがいいんでしょうか?」
ネットには『分離発注のほうが安い』『一括のほうがラク』と、断片的な情報があふれています。でも、どちらにもハッキリとしたメリットと、気をつけるべき点があります。一生に一度かもしれない出店で、失敗はしたくないですよね。その気持ち、よくわかります。だからこそ、この記事で一緒に整理していきましょう。
📌 この記事でわかること
- ①「分離発注」と「設計施工一括」の基本的なちがい
- ②それぞれの費用・スケジュール・デザインのメリットとデメリット
- ③現場で実際に起きている、発注方式が原因のトラブル
- ④あなたのお店に合うのは、どちらの頼み方か
店舗づくりの発注方式は、大きく分けて2つ
お店の内装工事を進めるとき、会社への頼み方は、大きく分けて2種類あります。「分離発注」と「設計施工一括(ワンストップ発注)」です。まずは、それぞれの仕組みを、やさしく押さえておきましょう。
1. 分離発注(設計と施工を、べつべつの会社に頼む)
分離発注は、「デザイン・設計(図面づくり)」を店舗デザイン事務所などに、「じっさいの工事(施工)」を工務店などに、それぞれべつべつに頼む方式です。
- 設計者(デザイナー)が、あなたの要望を聞き取り、空間のコンセプトやレイアウト、仕上げ材を決めて、くわしい図面をつくります。
- 施工者(工務店)が、その図面をもとに、材料や職人を手配して、じっさいの工事を行います。
- 設計者があなたの代理人となり、施工会社が図面どおりに正しくつくっているかを、客観的にチェック(工事監理)します。
役割分担がハッキリしているので、デザインの追求や、工事のチェックという面で、メリットがあります。ちなみに、この「工事監理」は建築士が担う大切な役割で、国土交通省の工事監理ガイドラインでも、設計図書のとおりに工事が行われているかを確認し、欠陥を未然に防ぐ役割とされています。
2. 設計施工一括(設計と施工を、同じ会社に頼む)
設計施工一括(ワンストップ)は、デザイン・設計から工事まで、ひとつの会社が一貫して引き受ける方式です。私たちコトスタイルも、この「設計施工一括(ワンストップ)」の体制をとっています。
- 社内に、店舗デザイナーと施工管理スタッフ(現場監督)の両方がいる、または強い提携チームで動いています。
- 企画の段階から、予算と施工性をふまえてデザインを組み立てるので、提案と見積もりがなめらかにつながります。
- あなたにとっての窓口が1社にまとまるので、行きちがいが減り、スピーディーに進みます。
| 比較項目 | 分離発注(設計・施工がべつ) | 設計施工一括(ワンストップ) |
|---|---|---|
| 契約相手 | 設計事務所 + 施工会社の2社 | 設計施工会社 1社 |
| 窓口の数 | 2つ(調整の手間がいる) | 1つ(まとめて相談できる) |
| 費用構成 | 設計料 + 工事費(べつべつに発生) | 設計施工費(トータルで管理) |
| 予算オーバーのリスク | 高め(図面完成後の見積もりで発覚) | 低め(予算に合わせて設計を調整) |
| オープンまでの期間 | 長め(設計→見積もり→着工と順に進む) | スピーディー(設計と見積もりが並行) |
| デザインの自由度 | とても高い(尖った意匠も追える) | 高い(施工性・予算とのバランス重視) |
| 工事のチェック体制 | デザイナーによる客観的な監理 | 社内での品質・施工管理 |
分離発注のメリット・デメリット
まずは、設計と施工を分ける「分離発注」から、くわしく見ていきましょう。
分離発注のメリット
① デザイン性を、とことん追求できる
好きな作風の空間デザイナーに直接たのめるので、ほかにない、尖ったデザインを実現しやすくなります。デザインそのものが集客力になる、旗艦店やショールームに向いています。
② 第三者(デザイナー)による、客観的なチェックが期待できる
デザイナーは施工会社とは独立した立場です。ですから、工事中に「手ぬきがないか」「図面どおりの材料や納まりか」を、専門家の目できびしくチェックしてもらえる安心感があります。
③ 施工会社の相見積もり(競争)ができる
完成した図面をもとに、複数の施工会社に見積もりを出させることができます。同じ図面・同じ条件で比べられるので、いちばん適正な施工会社を選びやすい、という理屈上のメリットがあります。
分離発注のデメリット(現場で起きやすい注意点)
① 予算オーバーが起きやすい(最大の落とし穴)
分離発注でいちばん多いのが、「すばらしい図面で見積もりを取ったら、予算を大きくオーバーしていた」というケースです。デザイナーは意匠のプロですが、日々うごく材料費や職人さんの人件費の相場を、リアルタイムに把握しきれないことがあります。図面ができた後に予算オーバーに気づき、あわてて削る作業に入って、オープンが遅れる。これは、現場での「あるある」です。
② 設計料がべつに発生し、トータルの費用が読みにくい
分離発注では、工事費とはべつに、設計監理料が発生します。国の告示にもとづく算定方法があり、一般には工事費の10%前後が目安とされることが多いです。工事費が安くなっても、設計料を足すと、思ったほど安くならなかった、ということも少なくありません。
③ トラブルのとき、責任のなすりつけ合いになりやすい
引き渡し後に不具合が出たとき、分離発注だと原因さがしが複雑になります。デザイナーは「施工のミスだ」と言い、施工会社は「図面の指示に無理があった」と言う。あなたがその間で板ばさみになり、対応が後回しにされてしまうリスクがあります。
④ オープンまでの期間が長くなりやすい
分離発注は、「①設計(1〜2ヶ月)」→「②施工会社の募集・相見積もり(1ヶ月)」→「③着工・工事(1〜2ヶ月)」と、順番に進める必要があります。設計が固まらないと見積もりが出せないので、契約からオープンまでが長くなり、その分の空家賃(家賃のムダ払い)のリスクが高まります。
設計施工一括(ワンストップ)のメリット・デメリット
つぎに、設計と施工をひとつの会社にまとめて頼む「設計施工一括」を見ていきましょう。
設計施工一括(ワンストップ)のメリット
① 予算のなかに、着地させやすい
設計担当と施工管理者がチームで動くので、「このデザイン・素材だと工事費がいくらか」を、設計の初期からリアルタイムに計算できます。「700万円のなかで、どこにお金をかけて、どこを削るか」というメリハリのある提案ができるため、深刻な予算オーバーを、かなり抑えられます。
② 打ち合わせの手間が減り、窓口が1つでスピーディー
設計の相談も、工事の相談も、あとからの追加要望も、すべて同じ会社に連絡すれば完結します。開業準備で忙しいあなたにとって、打ち合わせや調整のストレスがぐっと減るのは、大きなメリットです。
③ 工期が短くなり、空家賃を防げる
設計と施工の準備を並行して進められるので、物件契約から引き渡しまでが、ぐんと早くなります。店舗開業で、工事中の家賃(空家賃)は、いちばんムダな出費です。ワンストップなら、現地調査と同時に施工性や概算見積もりが進むので、着工までの時間のロスを、最小限にできます。
④ 施工性・耐久性まで考えた、現実的な提案
どれだけ見た目がオシャレでも、納まりが悪かったり、毎日の掃除が大変だったりするデザインは、お店として長もちしません。ワンストップの会社は「つくる現場」を知りぬいているので、美しさと使いやすさ、耐久性を兼ねそなえた提案ができます。
設計施工一括のデメリット(注意点と対策)
① 会社によって、デザインの得意・不得意の差が大きい
設計施工会社には、「工務店がメインで、デザインはカタログから選ぶだけ」の会社もあれば、「意匠性の高いオリジナル空間が得意」な会社もあります。過去の施工事例をあらかじめ見て、自分たちが目指す世界観に合った実績があるかを、見きわめることが欠かせません。
② 客観的なチェックが働きにくい、という心配
設計と施工が同じ会社なので、「自社がやりやすいようにデザインを単純化するのでは」「施工ミスを隠すのでは」と心配されることがあります。このリスクを防ぐには、見積書の内訳(品番・単価・数量)をくわしく出してくれる、誠実な会社を選ぶこと。そして、引き渡しのときに、ていねいにチェックすることが大切です。
現場で実際に起きた、発注方式が原因のトラブル

ふたつの発注方式を、もっとリアルに感じてもらうために、私が現場で見てきた実際のトラブルを、ふたつ紹介します。
トラブル1:分離発注で起きた「夢の図面と、現実の工事費」のギャップ
あるカフェのオーナーさんは、あこがれの有名デザイナーに設計を分離発注しました。数ヶ月かけて完成した図面は、だれもが感嘆する、すばらしいものでした。ところが、工務店3社に見積もりを取ったところ、いちばん安い工務店でも、予算800万円を400万円も上まわる、1,200万円の見積もりが出てしまいました。
そこから、デザイナーと施工会社をまじえた、つらい「減額会議」がはじまります。壁の素材のランクを下げ、造作家具を既製品に変え、照明の数を減らし……。進めるうちに、完成したときには、あの魅力的なデザインの面影は、どこにもなくなっていました。しかも、調整に2ヶ月かかったため、その間のテナント家賃(毎月25万円×2ヶ月=50万円)が、何も生まないまま出ていきました。
トラブル2:一括発注で起きた「大雑把な見積もりと、施工の不備」
べつの物販店オーナーさんは、「安いから」という理由だけで、くわしい図面も出さずに「設計施工一式 600万円」とだけ提示してきた、格安の一括業者に頼みました。
工事がはじまると、伝えていた棚の高さとちがう、コンセントの位置が足りない、といった問題が続出。指摘すると「それは一式にふくまれていません。追加で+30万円かかります」と言われ、断れないまま、予算がどんどんふくらんでいきました。客観的に工事を見る人がいない一括発注では、「最初の見積もりの内訳が、どれだけ透明か」が命運を分ける。そう痛感させられた事例です。
💡 このふたつの事例が教えてくれること
- 分離発注のリスクは「予算オーバー」と「時間のロス」に出やすい
- 一括発注のリスクは「見積もりの不透明さ」に出やすい
- どちらを選ぶにせよ、見積書の“中身”をきちんと見せてくれる会社かどうかが分かれ道
あなたに向いているのは、どちら?
ここまでの特徴をふまえて、あなたがどちらの方式に向いているか、チェックしてみましょう。
「分離発注」が向いている人・お店
- デザインに絶対のこだわりがあり、予算や工期にゆとりがある人
- 特定の有名デザイナーや設計事務所に、どうしても頼みたい世界観がある人
- 意匠性がとても高い、ほかにない旗艦店をつくりたい大型店舗
- 工事の完全な第三者チェックを、デザイナーに行ってほしい人
「設計施工一括(ワンストップ)」が向いている人・お店
- 限られた予算のなかで、確実に納得のいくお店をつくりたい人
- はじめての開業で、物件さがしから資金計画、工事まで伴走してほしい人
- オープンまでを最短で進めて、ムダな空家賃を抑えたい人
- 窓口をひとつにまとめ、トラブル時の責任のありかを、ハッキリさせたい人
- デザインだけでなく、毎日の営業の使いやすさや耐久性も大事にしたい人
私たちコトスタイルが、ワンストップにこだわる理由

私たちコトスタイルは、京都を中心に、物件さがし・設計デザイン・施工・アフターフォローまでを一貫して引き受ける「ワンストップ型(設計施工一括)」にこだわっています。なぜか。理由は、ハッキリしています。
1. 物件契約の前の「無料現地調査」で、設備リスクをゼロにする
お店づくりでいちばん怖いのは、「物件を契約したあとに、電気・ガス・水道・排気の容量不足が判明して、工事費が数百万円はね上がる」ことです。私たちは、あなたが物件を契約する前の段階で、施工と設計のプロが現地に同行します。その場所で「理想のお店がつくれるか」「引き込み工事にいくらかかるか」を先に診断するので、契約の失敗を防げます。
2. 13年・300件以上の施工実績と、自社でお店を運営してきた経験
私たちは、ただきれいな図面を描くだけの会社ではありません。自社でも飲食店を運営してきた経験と、ミシュラン掲載店をふくむ300件以上の現場実績があります。「スタッフが1歩でも歩数を減らせる厨房動線」「回転率を上げる客席レイアウト」「経年変化を楽しめる素材選び」。じっさいに売上が立ち、長く愛されるお店づくりのノウハウを、設計と工事に直接おとしこみます。
3.「一式」に逃げない、くわしい見積もりの明細
一括発注のデメリットとされる「不透明さ」をなくすため、私たちは、材料の品番・単価・施工数量を明記した、くわしい見積書を出します。どこにいくらかかっているかが一目でわかるので、予算の調整も、納得しながらスムーズに進められます。開業までの全体像は、京都でお店を開きたいと思ったら読む記事【完全ガイド】でもまとめています。あわせてご覧ください。
まとめ:失敗しない、お店づくりのパートナー選び
店舗の「分離発注」と「設計施工一括」は、どちらかが絶対にすぐれている、というものではありません。デザインの尖り具合を最優先し、予算と工期にじゅうぶんな余裕があるなら、「分離発注」は魅力的な選択肢です。いっぽうで、限られた予算と時間のなかで、デザイン性と施工品質、コストのベストバランスを求めるなら、「設計施工一括(ワンストップ)」が、いちばん確実で、リスクの少ない選び方だと思います。
💡 後悔しないための、いちばん大切なこと
- 「分離」か「一括」かの前に、見積もりの“中身”を見せてくれる会社を選ぶ
- 電気・ガス・水道・空調などのインフラ工事が、見積もりに入っているか確認する
- そして何より、物件契約のハンコを押す“前”に、プロに相談する
お店づくりは、孤独な道のりです。でも、ひとりで抱えこまなくて大丈夫。あなたの夢を、私たちは決して独りにしません。一緒に、いちばん良い進め方を見つけていきましょう。
よくある質問
Q. 分離発注と設計施工一括、結局どちらが安くなりますか?
一概には言えません。分離発注は施工会社を競争させられる反面、設計料がべつに発生します。一括は初期から予算に合わせて設計を調整できるため、トータルの着地を読みやすいのが特徴です。大切なのは合計金額の安さだけでなく、見積もりの内訳が明確かどうかです。
Q. 設計施工一括だと、デザインの自由度は下がりますか?
会社によります。デザインが得意な設計施工会社を選べば、施工性や予算とのバランスを取りながら、こだわりのある空間を実現できます。過去の施工事例で、自分の目指す世界観に近い実績があるかを確認するのがおすすめです。
Q. まだ物件が決まっていない段階でも、相談できますか?
むしろ、その段階でのご相談を歓迎しています。物件契約の前に現地を見ることで、設備の容量不足など、あとから工事費がふくらむリスクを先に見つけられます。京都で出店をお考えなら、候補物件の段階でお気軽にご相談ください。
京都で店舗の設計・施工をお考えなら、コトスタイルへ
物件さがしから設計・施工・開業後のフォローまで、ワンストップでお手伝いします。
候補物件の段階でも、概算見積もりや現地調査を無料で行っています。
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