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コト飲み第4弾 薪火酒場 五燠堂での新メンバー歓迎会と空間設計の学び

コト飲み第4弾|薪火酒場 五燠堂で学んだ空間の二面性と体験設計、そして新メンバーツジくん歓迎会

コト飲み第4弾 薪火酒場 五燠堂での新メンバー歓迎会と空間設計の学び

八条口のあたりをぶらぶら歩きながら、「この界隈、ここ数年でずいぶん変わったな」と思っていた。観光客向けのホテルが増えて、以前は何もなかった路地に灯りが増えた。街が変わるのを、街を歩くことで感じる瞬間が好きです。

「コト飲み」は、コトスタイルのメンバーで月に一度、京都の繁盛店を実際に訪れて、現場でその強さを身体ごと確かめる社内飲み会です。美味しいものを食べながら、図面の外にある構造を学ぶ時間。第3弾では先斗町の「EL BODEGON」を訪れましたが、今回は第4弾。

そして今回はちょっと特別な回でもありました。新しくコトスタイルに加わったデザイナー、ツジくんの歓迎会を兼ねての開催です。

Designer ツジ

訪れたのは、京都駅八条口から徒歩3分の路地裏に位置する「薪火酒場 五燠堂(ごおうどう)」さん。五十家グループが手がける話題の新店舗です。

📋 この記事でわかること

  • コト飲み第4弾の訪問店「薪火酒場 五燠堂」の概要
  • 40代と20代で真逆になった「空間への感想」の面白さ
  • セルフサービスをエンタメに変える体験設計の巧さ
  • 自分で野菜を育てる新メンバー辻くんも唸った薪火料理
  • 漫画トークで盛り上がった夜の話

薪火酒場 五燠堂とは——京都駅すぐの路地裏に潜む繁盛店

五十家グループが手がける「薪火料理」の新業態


薪火酒場 五燠堂 コト飲み第4弾 04

京都市内で複数の人気居酒屋を展開する「五十家グループ」が手がける「薪火酒場 五燠堂」は、京都駅八条口から歩いて3分の路地裏にあります。

コンセプトは「薪火料理」。自社農園「ISO FARM」で育てた新鮮な京野菜と、厳選された肉を、アンティークレンガの薪窯でじっくり焼き上げる——というスタイルです。

「京都駅から3分」という立地のわかりやすさと、「薪火」というコンセプトの独自性の組み合わせ。この掛け合わせが、連日満席を作り出す根拠のひとつだろうなと思いながら向かいました。

1階と2階で、まったく違う顔を持つ店

入ってすぐ気づくのが、空間の「二面性」です。

1階は、薪窯の炎を間近に眺めながら食事を楽しめるシックなカウンター席。炎のゆらめきとレンガの質感が空気を作っていて、料理が来る前から気分が上がる。「ライブ感」を買いに来る感じのゾーンです。

2階は、打って変わって古民家の土壁と梁を活かした完全個室の座敷。今回のように「チームでの食事会」「記念日」「ちょっと特別な会食」に向いた空間です。

利用シーンに合わせた明確なゾーニング——これが繁盛店の基本構造のひとつです。「ひとりで来て炎を眺めたい夜」と「仲間と囲んでゆっくりしたい夜」の両方を受け止められる設計になっている。コト飲みで学ぶべきことが、入口の段階でもう出てきていました。

空間への反応が、世代でまったく違った

薪火酒場 五燠堂 コト飲み第4弾

「おばあちゃんちに帰ってきたみたい」vs「これが逆に新鮮でおしゃれ」

今回は2階の完全個室に通していただきました。

座った瞬間、40代のメンバーからこんな言葉が出てきました。「田舎のおばあちゃんちに帰ってきたような安心感があるな」。古民家の土壁や梁を、修繕してきれいにするのではなく、あえてそのまま残している。その「生々しさ」が、温もりや懐かしさとして40代には響く。

ところが——20代のスタッフはこう言うんです。「これ、逆に新鮮でめちゃくちゃおしゃれに感じます」。

面白い。全然違う。

40代にとっての「懐かしいから好き」は、20代にとっての「見たことないから好き」になっている。同じ空間が、まったく異なるアプローチで「心地よさ」を届けているんです。

「新旧の対比」がデザインの武器になる

一級建築士として、店舗デザインに携わり続けてきた私が思うのは、「古いものをただ綺麗にする」と「古いものを意図的に残す」はまったく別の設計思想だということです。

五燠堂の2階がやっているのは後者です。土壁の剥がれも、煤けた梁も、全部計算の上で「残している」。それが40代には懐かしさを、20代には非日常感を与える。

これはサッカーで言うと、守備的な選手が攻撃のアクセントにもなっている状態に近い。一つの要素が、異なる相手に対して異なる効果を生む。設計の幅が広い選手です。

幅広い世代に異なるアプローチで「心地よさ」を提供できる空間は、集客の間口が自然と広くなります。このバランス感覚は、店舗デザインとして本当に参考になりました。

セルフサービスを「エンタメ」に変える体験設計の巧さ

個室に冷蔵庫がある——この一点で、体験が変わる

設計者として一番唸らされたのが、2階の個室に冷蔵庫が置かれていて、飲み放題のドリンクは自分たちで自由に取り出せる仕組みになっていた点です。

これを「ただのセルフサービス」と見ると、何も学べない。でも少し立ち止まって考えると、面白い設計思想が見えてきます。

まず、オペレーション側の視点から見ると——スタッフが個室にドリンクを運ぶ手間がなくなります。個室は動線的に一番コストのかかる席です。スタッフの動きを削減することで、少ない人数でも個室を運営できる。

でも、そこだけ見たら「手を抜いている」という印象にもなりかねない。なのに、そうならない。なぜかというと——。

「実家の友人の家」感覚がUXを反転させる

冷蔵庫から自分でビールを取り出すという行為が、「自分がホストになったような感覚」を生むからです。

「飲みたいときに、自分のペースで取りに行く」——これ、友人の家に集まったときの感覚とまったく同じです。スタッフを呼ぶ必要がない。気を使わなくていい。自分たちだけの空間で、自分たちのペースでくつろげる。

この感覚が、古民家の個室という「実家感のある空間」と完璧に合わさっている。セルフサービスという「合理化」が、客側の体験では「エンタメ」に昇華されている。

UXデザイン(ユーザー体験設計)という言葉があります。ざっくり言うと「使う人がどう感じるかを設計すること」です。五燠堂の冷蔵庫は、そのUXデザインの教科書事例のひとつだと思いました。

店舗設計は内装の美しさだけでなく、「過ごし方」や「体験」までをトータルで設計することが重要です。図面の外に、答えはいつもある。

野菜を育てるツジくんも唸った薪火料理

自社農園直送の野菜を、薪窯で焼く


薪火酒場 五燠堂 コト飲み第4弾 01

料理は、野菜をふんだんに使ったコースをいただきました。

ISO FARMで育てた新鮮な京野菜を、薪火でシンプルに焼いた料理。薪の香ばしい匂いと、素材本来の甘みが引き立っていて、最高でした。「これ、余分なものが何も要らんな」と思えるシンプルさ。

今回の主役、新メンバーのツジくんは——実は自身でも畑を持って野菜を育てているんです。いわば野菜のプロです。そんなツジくんが一口食べて、「これは本当においしい」と言っていた。これは説得力があります。

「原始的な調理法」と「洗練されたプレゼン」のギャップ

薪火というのは、人類が最も古くから使ってきた調理法です。無骨で、原始的で、どこか野性的。

でも、そこに置かれた料理は非常に洗練されていて美しい。信州和牛やジビエなどの肉料理も、薪火でじっくり焼かれることでしっとり柔らかく、締めのご飯まで隙がありませんでした。

「原始的な調理法」×「洗練されたプレゼン」のギャップが、顧客の感動を生んでいる。これも空間の二面性と同じ構造です。新旧・粗と精の対比を、意図的に設計している。

お店を作るとき、「コンセプトのギャップ」を意識することが大切だと私はよく言います。「こんな場所なのに、こんな料理が」「こんな外観なのに、中はこんな空間が」——その反転の瞬間に、お客さんの感動が生まれる。五燠堂はそれを料理でもやっていました。


薪火酒場 五燠堂 コト飲み第4弾 02

漫画トークで盛り上がった夜

古民家の空間が、場を「ほぐした」

美味しい料理と心地よい空間のおかげで、食事会は終始リラックスした雰囲気でした。

途中からは、漫画の話で大盛り上がりになって。「あのころ、あれ読んだよね!」「え、それ知らん!」「絶対読んでほしい!」——メンバーの世代によって懐かしいと感じる作品は違うんですが、どこかの年齢の時に一度は漫画にハマっていたことはみんな共通で。昔を思い出して熱くなりました。

私のおすすめは「三国志」と「アオアシ」

ちなみに私のダントツのおすすめは、『三国志』と『アオアシ』です。

『三国志』は戦略と人間関係の教科書。あれを読んでから、仕事の組み立て方が変わった気がしています。『アオアシ』はサッカー好きとしてもちろんですが、「個人の才能がチームの中でどう活きるか」というテーマが、チームを作る立場の自分にも刺さる。

新メンバーのツジくんの推しは『アフロ田中』シリーズとのこと。「それめっちゃ好きやわ!」と場が盛り上がって、歓迎会としていい夜になりました。

他愛のない話で熱くなれるのも、この空間が持つ「魔法」かもしれへん。古民家の座敷が持つ「場をほぐす力」は、図面ではなかなか表現できない。でも間違いなく、リピーターを生む要因のひとつになっていると思います。


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コト飲みが私たちに教えてくれること

図面の外にある「本当の答え」を拾いに行く

五燠堂で学んだことを整理すると、こうなります。

コト飲み第4弾 五燠堂から得た学び

🏠 利用シーンに合わせた明確なゾーニング

1階のカウンター(ライブ感)と2階の個室(実家感)。同じ建物で異なる体験を提供することで、来店理由が複数生まれる。

👥 「新旧の対比」が幅広い世代を引き込む

古いものをあえて残すことで、40代には懐かしさを、20代には非日常感を同時に提供する。一つの空間が複数の「刺さり方」を持てる。

🍺 セルフサービスを体験設計でエンタメに変える

冷蔵庫のセルフサービスが「合理化」でなく「実家感」になる。オペレーションの合理化と顧客体験の向上を同時に達成する設計思想。

🔥 「原始×洗練」のギャップが感動を生む

薪火という原始的な調理法と、美しく洗練されたプレゼン。このギャップが「期待を超える体験」を作り出している。

新体制になったコトスタイルを、よろしくお願いします


薪火酒場 五燠堂 コト飲み第4弾 05

コトスタイルはお店作りを支援する会社です。デザインと施工だけをやっている会社ではなくて、「お客様の開業という体験を、どう設計するか」まで関わる仕事をしています。

だから、こういう繁盛店の現場に行って、身体で学ぶことはすごく大切だと思っています。図面を描く前に、まず食べて、感じて、「なぜここが人を引きつけるのか」を考える。コト飲みはその時間です。

次回、第5弾はどこに行くか、まだ決まっていない。でも、「行ってみたい繁盛店」は常にリストが溜まっているので、また楽しみにしていてほしいです。

そしてツジくん、改めてコトスタイルへようこそ。一緒にいい仕事をしましょう。

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📎 コト飲みシリーズ

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薪火酒場 五燠堂 コト飲み第4弾 03
〆は取り合いに 笑