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開業のターゲット設定の考え方を解説

開業の悩み「誰にでも来てほしい」が失敗を招く理由とターゲットの絞り方

開業のターゲット設定の考え方を解説

先日、知り合いの美容師さんから相談を受けました。

「お客さんが定着しなくて。リピートが全然なくて」って。話を聞いてみると、ターゲットは「20代〜50代の男女全般」で、メニューもカットからカラー、パーマ、トリートメントまで全部揃えてる。価格帯も「お手頃から上質まで」って感じで、とにかく間口を広くしていた。

「誰でも来てほしくて」って言葉に、私はちょっと切ない気持ちになりました。

その気持ちはわかる。怖いんですよね、絞ることが。「絞ったら来てくれる人が減るんちゃうか」って。でも、間口を広げるほど「どうしてもここに来たい」という人が減っていく、という逆説があって。

「誰からも愛されるお店」を目指すことが、実は誰からも選ばれないお店を作ってしまう。この記事では、その仕組みと、じゃあどうするかという話をします。

📋 この記事でわかること

  • 「ターゲットを絞ると客が減る」がなぜ間違いなのか
  • 万人受けを狙ったお店が開業後に直面する「気まずい空間」の現実
  • 理想の客が思い浮かばないときに使える「嫌な客からの逆算」という発想
  • たった1人に絞り込むことで、なぜ口コミが生まれるのか
  • ターゲットをお店のデザインや物件選びに落とし込む方法

「みんなに来てほしい」というスローガンの罠

ターゲットが広い=誰の心にも刺さらない

「老若男女、誰でも大歓迎!」って方針、一見すると繁盛しそうに見えますよね。間口が広いんだから、たくさん来てくれそうな気がする。

でも、自分がお客さんの立場になったときを想像してみてほしくて。

「和洋中なんでもあります」という定食屋で、本当においしいフレンチが出てくると思いますか。「誰にでも合う服」と言われた服を、自分の一番のお気に入りにしたいと思いますか。

たぶん、思わないですよね。

万人受けを狙って特徴をなくしたお店は、「どうしてもここに行きたい」という強い動機を生み出さない。結果として、「価格が安いから」「たまたま近かったから」という理由でしか選ばれないお店になっていく。

これ、サッカーで言うと「オールラウンダーです」って言い続ける選手に似てると思ってて。どのポジションもこなせますって言ってる選手より、「ここだけは誰にも負けない」って尖った選手の方が、試合に出られる。お店も同じかもしれへん。

「開業 悩み」の多くは、実はここから来ている

「集客がうまくいかない」「リピーターが増えない」「SNSを頑張っているのに来てもらえない」——開業後の悩みとして、こういう声をよく聞きます。

原因はいくつかあるけれど、コンセプトとターゲットが曖昧なまま開業してしまったことが根本にあるケースが、実はめちゃくちゃ多い。

「誰でも来てほしい」という気持ちは本物で、その優しさは大切だと思う。でも、お店のコンセプトとしては、それが足かせになることがあるんですよね。

開業後に必ず起きる「気まずい空間」の悲劇

「みんな歓迎」が生む、想定外の対立

万人受けの最大のリスクは、実はオープンした後にやってきます。これ、現場を見てきたからこそ言える話です。

たとえば、カフェを開業したとします。ある日の午後、家事の合間に「静かな時間がほしい」と思った30代の女性が、一人でゆっくりコーヒーを飲んでいた。そこへ「老若男女歓迎」の看板を見た賑やかな学生グループが来て、隣の席で盛り上がり始めた。

女性はイライラして早々に出てしまい、二度と来なくなる。かといって学生に「静かにして」とは言いにくい。

相反する目的を持ったお客様が同じ空間に居合わせてしまう——これが「みんな歓迎」の末路です。

建築現場に例えると、「住宅も倉庫も工場も、全部できます」って工務店に設計を頼むようなもので。どれも中途半端になる可能性が高い。専門性を絞った業者の方が、結果的にいい仕事をすることが多い。

スタッフも疲弊する、という現実

お客様だけじゃなくて、スタッフも苦しくなります。

「静かにしてほしい常連さん」と「賑やかに過ごしたい新規客」の板挟みになるのは、毎日現場に立つスタッフです。どちらを優先するかの判断基準がない状態で働くのは、じわじわと消耗していく。

コンセプトが明確なお店は、スタッフの判断軸が揃っている。何を優先して、どんなお客様に何をすべきか、自然に共有されてるんですよね。それがお店の空気感として出てくる。逆に、コンセプトが曖昧なお店は、スタッフも迷子になる。

理想の客が見えないなら「嫌な客」から逆算する

無理に「理想」を描こうとしなくていい

「ターゲットを絞りましょう」「ペルソナを作りましょう」ってよく言われるけど、これが意外と難しい。

「うーん、感じのいい人で、お金払いがよくて……」みたいな、フワッとした都合のいいイメージしか浮かばない人が多い。私も最初そうだったし、それは全然おかしくないと思う。

そういうときは、発想を逆転させてみてほしいんですよ。

「絶対に自分のお店には来てほしくない、嫌な客」を書き出してみる。

ネガティブな感情の裏に、本当のターゲットが隠れています。

ネガティブリストが、コンセプトになる

たとえばこんな感じで書いてみてください。

【嫌な客リストの例】

  • 「いつも難癖をつけて値引きを要求してくる人」
  • 「大声で騒いで、他のお客さんに迷惑をかける人」
  • 「施術後に必ず文句を言う人」
  • 「予約をドタキャンする常連だと思ってる人」

これ、リアルに湧いてきませんか。理想より嫌なことの方が、具体的に出てくるんですよね。

次に、それぞれの「真逆」を考えてみます。

【逆算した理想の客】

  • 値引きを要求する人の逆→「価格より価値を重視して、適正価格を払ってくれる人」
  • 大声で騒ぐ人の逆→「空間の空気感を大切にして、静かに過ごせる人」
  • 文句ばかり言う人の逆→「信頼して任せてくれる人」
  • ドタキャンする人の逆→「約束を守って、お互いの時間を尊重できる人」

どうですか。「嫌な客の真逆」を並べていくだけで、あなたが本当に来てほしいお客様の輪郭が、驚くほどくっきりしてきませんか。

理想を直接描こうとすると難しいけど、ネガティブな記憶は正直に出てくる。その正直さを利用するのが、一番リアルなペルソナの作り方かもな、って思ってます。

たった1人のために「究極のわがまま」を貫く

絞り込んでも、お客さんは減らない

嫌な客リストから浮かび上がった要素を組み合わせて、たった1人の架空の人物像を作ってみてください。

「33歳の専業主婦で、3歳の子どもがいる。以前は表参道の美容室に行っていたけれど、今は近場で、子連れでも気を遣わずにゆっくりできる、質の高い癒しを求めている」

ここまで具体的に決めると、「そこまで絞ったら他の人が来なくなるやん」って思いますよね。

でも、大丈夫です。

特定の誰かの心に深く刺さるお店を作れば、「まさに私のための場所だ!」と感じる人が必ず集まってくる。その熱量が口コミを生んで、似たような価値観を持つ人を連れてきてくれる。

コトスタイルが300件以上の開業支援をしてきたなかで感じてることがあって。ターゲットを絞ったお店の方が、絞らなかったお店より口コミが広がりやすい。「あなたにぴったり」って紹介しやすいんですよね。「なんでもあるお店」は紹介しにくい。

「自分が笑顔でいられるお店」が、一番強い

もう一つ、大事な話をさせてください。

開業において一番大切なのは、あなた自身が無理なく楽しく働き続けられることだと思ってます。

毎日「嫌だな」と思うお客さんの対応をしてたら、いくら売上があっても心がすり減っていく。私、創業当初に資金ショートを経験したことがあるけど、その時に一番しんどかったのはお金じゃなくて「誰のために頑張ってるんやろ」ってなった瞬間で。

「自分が大好きな客しか来ないお店」を目指す。そのくらいのわがままを貫いていい。それが結果として、お店のブレない軸になって、長く愛される繁盛店への近道になるかもな、って思ってます。

ターゲットが決まったら、次にやること

  • 物件選び:そのターゲットが自然に訪れるエリアか、物件の雰囲気は合っているか
  • 内装設計:そのターゲットが「自分のための場所だ」と感じる空間になっているか
  • 価格設定:そのターゲットが「高くても払いたい」と思える価値を提供できているか
  • SNS・発信:そのターゲットが見ているメディアで、その人の言葉で発信できているか

ターゲットが決まると、こういった判断軸が一気に揃います。迷ったときに「うちのターゲットはどう感じるか」で考えられるようになる。これが、開業後の迷子を防ぐいちばんの方法だと思ってます。

よくある質問(FAQ)

Q. ターゲットを絞ると、本当にお客さんが減らないですか?

短期的には来店数が減ることがあります。ただ、リピート率と口コミの質が上がる傾向があります。「誰にでも合う」お店より「この人にぴったり」のお店の方が、紹介されやすいからです。300件以上の開業支援を見てきて、ターゲットが明確なお店ほど安定したリピートを作れている印象があります。

Q. 「嫌な客リスト」を作るのが気が引けます。ネガティブな発想でいいんですか?

大丈夫です。「嫌な客が来てほしくない」という感情は正直な気持ちで、それを無視したまま開業しても、現実として直面することになります。最初から向き合っておいた方が、コンセプトも空間設計も、ずっと具体的になります。ネガティブな本音の裏に、あなたの本当のターゲットが隠れています。

Q. ペルソナを決めたら、物件選びや内装にどう反映すればいいですか?

たとえば「子連れの30代女性」をターゲットにするなら、住宅街に近いエリア・ベビーカーが入れる動線・ゆったりした座席間隔・落ち着いたBGMなど、設計のすべてにターゲット目線が入ります。逆に、ターゲットが曖昧なまま物件や内装を決めると、後から「なんかちがう」という違和感が出やすい。ターゲット→コンセプト→物件・設計の順番を守ることが大切です。

まとめ|絞ることが、最大の集客になる

今回お伝えしたことを整理しますね。

  • 「みんなに来てほしい」は気持ちとしては正しいけど、コンセプトとしては機能しない
  • 万人受けを狙うと、相反するお客様が同じ空間に集まり、誰も満足しない事態が起きる
  • 理想のターゲットが思い浮かばないなら、「嫌な客の真逆」を考えるとリアルに出てくる
  • たった1人に深く刺さるお店が、口コミを生んで結果的に多くの人を集める
  • ターゲットが決まると、物件・内装・価格・発信すべての判断軸が揃う

「誰からも愛されたい」という気持ちを手放すのは、最初は怖いかもしれない。でも、その勇気が「本当に愛してくれるファン」と出会うための第一歩になると思ってます。

「ペルソナは作れたけど、それをどう物件選びや内装に落とし込めばいいかわからない」という段階でも、ぜひ相談に来てください。一緒に考えます。

「誰のためのお店か」を一緒に考えませんか

「ターゲットは決まったけど、空間に落とし込めない」「コンセプトの壁打ちがしたい」
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