

この記事でわかること
- 「居抜き」と「スケルトン」それぞれの意味と決定的な違い
- 造作譲渡料・退去時のスケルトン戻しなど、契約前に知るべきお金の話
- 業種・予算・こだわりで変わる、自分に合った選び方の基準
- コトスタイルのワンストップサポートで解決できること
「居抜きとスケルトン、どっちがいいですか?」
開業の相談を受けていると、この質問は本当によく出てきます。美容室でも、カフェでも、バーでも、業種を問わず聞かれる。それだけ多くの方が、この二択の前で立ち止まっているということだと思います。
で、私はいつもこう答えます。
「どちらが正解かは、物件の状態とあなたの優先事項によって変わります。ただ、どちらを選ぶにしても、知っておかないと損をする話があります。まずそれを聞いてください」と。
この記事は、その「損をする話」を全部まとめたものです。居抜きとスケルトンの言葉の意味から、造作譲渡料や退去時の原状回復費といった不動産会社があまり積極的に説明しない費用の話、そして業種・予算別の選び方まで、順番に話していきます。
開業を検討している方には、物件を契約する前に一度読んでほしい内容です。
「居抜き物件」と「スケルトン物件」の決定的な違いとは?
まず言葉の整理から始めます。不動産の世界では当たり前に使われている言葉ですが、初めて聞く方にはわかりにくい。ここをあいまいにしたまま物件探しを始めると、後で認識のズレが出てきます。
シンプルに言うと、こういうことです。
- 居抜き物件:前のテナントが使っていた内装・設備・什器がそのまま残っている物件
- スケルトン物件:内装がすべて撤去され、コンクリートや鉄骨がむき出しの状態の物件
居抜きは「前の人の痕跡が残っている状態」、スケルトンは「何もない状態」と覚えてもらえれば大体合っています。
ただ、実際の物件はこの二択の間にさまざまなグラデーションがあります。「内装は残っているが厨房設備はない」「床と壁だけ残っていて天井はスケルトン」といった半居抜き的な状態の物件も多い。物件情報に「居抜き」と書いてあっても、何がどこまで残っているかは必ず現地で確認することが必要です。
居抜き物件の特徴(メリット・デメリット)
居抜き物件が選ばれる最大の理由は、初期費用を抑えられることと、工期が短くなることです。内装の骨格がすでにできているため、改装の範囲を絞れる。前のテナントと同じ業態で出店する場合は、特に効果が大きいです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 内装・設備の初期費用を抑えられる | 前のテナントのレイアウトに縛られる |
| 工期が短く早期オープンが可能 | 設備の劣化・不具合が潜んでいることがある |
| 厨房設備・什器をそのまま使える場合がある | 造作譲渡料が発生することがある |
| 家賃の空白期間を短縮できる | 退去時にスケルトン戻しが求められる場合がある |
| 前の業態のブランドイメージが残る場合も | 自分のコンセプトを完全には表現しにくい |
居抜きのデメリットの中で特に注意が必要なのが、「設備の劣化・不具合が潜んでいること」です。配管の詰まり、電気容量の不足、換気設備の劣化。こうした問題は内見しただけでは発見できないことが多く、契約後に発覚して追加工事費が発生するケースが後を絶ちません。詳しくは後のセクションで話します。
スケルトン物件の特徴(メリット・デメリット)
スケルトン物件の最大の魅力は「自由度」です。内装のすべてをゼロから設計できるため、自分のコンセプトを空間に完全に反映させることができます。厨房のレイアウト、動線、素材、照明計画。すべてを自分で決められる。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 内装・動線・設備をゼロから自由に設計できる | 工事費用が高くなる |
| 設備の状態を自分で選んで入れられる | 工期が長く、家賃の空白期間が発生しやすい |
| 前のテナントの痕跡がなく、ブランドを作りやすい | 厨房設備・什器をゼロから揃える必要がある |
| 退去時の原状回復がスケルトン戻しで済む場合が多い | 物件数が少ない(特に京都の人気エリア) |
スケルトン物件で気をつけたいのは、「自由度が高い分、判断しなければならないことが増える」という点です。内装のすべてを自分で決めるということは、それだけ設計の知識と経験が求められます。何も知らない状態で施工業者に丸投げすると、「なんとなくそれっぽいお店」ができあがってしまう。コンセプトを空間に落とし込むには、一緒に考えてくれるパートナーが必要です。
意外な落とし穴!居抜き物件の「造作譲渡料」と退去時の「スケルトン戻し」
ここからが、本当に大事な話です。不動産会社が積極的に説明しないわけではないのですが、初めて物件を借りる方にとっては「そんな費用があるとは思っていなかった」となりやすいポイントです。
私がこれまで相談を受けてきた中でも、この2つの費用について契約前に把握していなかったために、資金計画が狂ってしまったケースを何度も見てきました。
造作譲渡料とは何か
居抜き物件で前のテナントが残した内装・設備・什器を引き継ぐ際に、前のテナント(または物件オーナー)に支払う費用のことです。金額は物件によって大きく異なります。
- 設備がほとんど残っていない場合:0〜50万円程度
- 厨房設備・カウンター・什器がそろっている場合:50万〜300万円程度
- 状態が良好で設備が充実している場合:300万〜500万円以上になることも
造作譲渡料は工事費とは別にかかります。「居抜きで工事費が安い」と思っていても、造作譲渡料を加えると、トータルコストがスケルトンから作るのとさほど変わらないケースもあります。
落とし穴
造作譲渡料は「前のテナントとの直接交渉」で決まることが多く、相場が見えにくい費用です。「この金額が妥当かどうか」を判断するために、残っている設備の状態と市場価値をプロに見てもらうことをおすすめします。高すぎる造作譲渡料を払ってしまうケースは少なくありません。
退去時の「スケルトン戻し」とは何か
これは退去するとき、つまり「将来、そのお店を閉める日」の話です。
テナント契約では、退去時の原状回復について取り決めがあります。スケルトン物件から内装を作った場合、退去時に「作った内装をすべて撤去してスケルトンの状態に戻す」ことを求められるケースがあります。これを「スケルトン戻し」と言います。
スケルトン戻しの工事費用は、内装の規模によって100万〜500万円以上になることがあります。開業時には見えにくい費用ですが、事業の出口戦略を考えるうえでは無視できない金額です。
居抜き物件の場合も同様です。「居抜きで借りたのだから、居抜きの状態で返せばいい」と思っている方が多いのですが、契約書の内容によっては「スケルトン戻し」を求められることがあります。契約前に退去時の原状回復条件を必ず確認してください。
落とし穴
原状回復の条件は契約書に明記されていますが、解釈が曖昧な表現になっていることもあります。「どこまでが原状回復の範囲か」を契約前にオーナーと明確にしておくことが重要です。あとから「そういう意味ではなかった」というトラブルを防ぐために、条件の確認は書面で行うことをおすすめします。
自分のお店にはどちらが合っている?(業種・予算別の選び方)
ここまで読んで、「結局どっちがいいの?」と思っている方も多いと思います。
正直に言います。これは「一般的にはどちら」という答えが出しにくい問いです。物件の状態、業種、予算、オーナーのこだわりの強さ、開業までのタイムラインによって、最適解は変わります。
ただ、判断の目安として使えるフレームワークをお伝えします。
| こんな方には | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 初期費用をできるだけ抑えたい | 居抜き優先 | 設備状態が良ければ工事費を大幅削減できる |
| 早くオープンしたい(3ヶ月以内など) | 居抜き優先 | 工期が短く、家賃空白期間を最小化できる |
| 前の業態と同じ(例:カフェ→カフェ) | 居抜き優先 | 設備・動線をそのまま活用しやすい |
| 空間のコンセプトに強いこだわりがある | スケルトン優先 | すべてをゼロから設計できる自由度がある |
| 業態が特殊(設備要件が厳しい) | スケルトン優先 | 必要な設備を最初から正しく設計できる |
| 長期で腰を据えて経営したい | スケルトン優先 | 劣化リスクのない設備で長く使える空間を作れる |
このフレームワークはあくまで目安です。実際には「居抜きで探していたが、理想の物件がスケルトンしかなかった」「スケルトンのつもりだったが、状態の良い居抜きが見つかった」ということも普通に起こります。
大切なのは、どちらか一方に固執せずに、「この物件は自分の計画に合っているか」を個別に判断することです。そのためには、物件を見る目と、工事費の感覚を持っている人間を早めに巻き込むことが、結果的に一番の近道だと思っています。
コトスタイルのワンストップ開業サポート(物件探し〜内装工事)
最後に、コトスタイルがどんなサポートをしているかをお伝えします。宣伝っぽくなるのが好きではないので、できるだけ具体的に話します。
コトスタイルの特徴をひと言で言うと、「物件探しから内装工事まで、窓口がひとつ」ということです。
一般的な開業の流れでは、不動産会社・設計事務所・施工業者・行政書士(許認可)がそれぞれ別の会社になります。それぞれの専門家に依頼すること自体は悪くないのですが、窓口が分散すると「それはうちの管轄ではない」という場面が必ず出てきます。物件と内装の間に落ちている問題、許可申請と施工スケジュールのズレ。こうしたグレーゾーンを調整するコストと時間が、オーナーの負担になります。
コトスタイルでは、以下の領域をワンストップで対応しています。
- テナント物件の探索・内見同行・物件条件の精査
- 居抜き・スケルトンの費用シミュレーションと判断サポート
- 造作譲渡料・原状回復条件の確認と交渉サポート
- 店舗設計・内装デザイン・施工
- 営業許可・深夜営業届出などの行政手続きサポート
- オープン後の集客・販促サポート
「まだ物件が決まっていない」という段階でのご相談が、実は一番多いです。そして、その段階からご一緒した案件の方が、結果的にうまくいっていることが多いと感じています。物件を契約してしまった後では、できることの幅がぐっと狭くなる。だから「まだ何も決まっていないけれど」という状態で来てもらえると、一番力になれます。
居抜きとスケルトン、どちらが自分に合っているかわからない。そういう方でも、話を聞かせてもらえれば、一緒に整理できます。まずは無料相談からでもどうぞ。





