

デザイナーが語るコンセプトを形にするプロセス
こんにちは、コトスタイル代表の穴澤です。今回は「お店のコンセプト」について、ちょっと話をしてみようと思います。
日々、たくさんの出店相談を受けていると、「どうやってデザインを決めるんですか?」「コンセプトってどう作るんですか?」という質問をよくいただきます。
確かに、壁の色や素材、レイアウトなど見た目をどうするかも大切。でも、それ以上に大切なのは、お客様の頭の中にどんなお店の姿が浮かぶか。今回はそんな話をしていきます。
コンセプトは“伝わってこそ”意味がある
私たちが店舗デザインをするとき、一番大切にしているのが「コンセプトのわかりやすさ」です。
というのも、コンセプトって、“自分たちがどう思っているか”だけでは足りなくて、お客様がそのお店に来たときに、どう感じるかが本質やと思うんです。
「自然派のカフェ」なのか、「ごほうびの焼肉屋」なのか、「気軽な立ち飲み」なのか。
そのイメージが、お客様の頭の中に自然と浮かぶように、店構えやロゴ、接客、SNSの投稿に至るまで、全部が“同じトーン”で統一されていることが大事になってきます。
お客様の頭の中に“描いてほしいイメージ”を先につくる
コンセプトって、「あるものを言語化する」というよりも、「こうあってほしい世界を先につくる」ような作業だと思っています。
つまり、お客様に“こんなお店かも”と想像してもらいたい景色を、先につくっていく作業。
私たちの仕事は、その“景色”を丁寧に言葉にして、図面にして、素材や照明、音、香りにまで落とし込んでいくこと。
コンセプトが強くて明快であるほど、デザインの方向性もブレなくなるし、スタッフ教育やお客様との関係性にも一貫性が出てくるんです。
接点はリアルだけじゃない。オンラインも含めて“デザイン”
ここ数年で特に感じるのは、デザインの範囲が広がってきているということ。
昔は「内装デザイン=空間づくり」だったけど、今は違います。SNSの発信、Googleマップの口コミ、LINEのやりとり……お客様とつながる場所はたくさんあって、そこにもちゃんと“コンセプト”がにじんでいるかが大事になってきます。
たとえば、店内はオーガニックで落ち着いた雰囲気なのに、Instagramの投稿がチカチカしてたら、ちょっと違和感がありますよね。
そうならないために、コンセプトはすべての接点にしっかり浸透させていくことが求められます。
だから最近は、開業支援のなかでSNSの方向性や写真の撮り方なんかも一緒に考えることが増えてきました。これも含めて、今の時代の“店舗デザイン”なんやと思います。
コンセプトづくりに必要なのは“自己満足じゃない視点”
「これ、かっこいいですよね!」って、つい言いたくなるんですが、それが自己満足で終わってしまうと意味がない。
だからこそ、誰に来てほしいのか、どんな時間を過ごしてほしいのかをしっかり描いて、その人の目線で考えること。
お客様の目線に立ったとき、どんな照明が心地いいか、どんな距離感で接客してもらうと嬉しいか。
そういうことを考えると、自然と“必要なデザイン”が見えてくるようになるんです。
まとめ:お店づくりは“見た目のデザイン”だけじゃない
集客につながるお店って、結局“人の記憶に残るお店”やと思っています。
そのためには、まずお客様の頭の中に描いてほしいイメージを、先にこちらで描いておくこと。
そのイメージをもとに、空間、接客、SNS、すべてのタッチポイントに一貫性を持たせていく。
これが、コトスタイルが考える“店舗デザイン”の在り方です。
もし「自分のお店に来てほしいお客様って、どんな人やろう?」と少しでも考えはじめたら、そこがスタート地点。
一緒に、その“お客様の頭の中の景色”をつくっていきましょう。