

御池通は高倉通りを少し南に入った亀甲屋町。
今日は、某食品を取り扱われている企業様からご依頼いただいた町家を飲食店にリノベーションする現場に行ってきました。
担当はデザイナーのナガサワさん。
ちょうど大工さんが下地を組んでくれているということで、久しぶりに現場の空気を感じてきました。
町家の“素”が見えるタイミング
現場に一歩足を踏み入れた瞬間、「まだこんなに良い町家が残ってるんやなぁ」と、思わず心の中でつぶやいていました。
素材、というと少し違うかもしれませんが、それくらいワクワクする空間です。
1階はすでに厨房の配置が見えてきて、「あぁここにカウンターができて、お客様が座るんやな」とイメージが浮かびます。

2階に上がると、目の前に大きな梁。手を伸ばしたくなるほどの存在感です。
この“梁の迫力”こそ、京都の町家の魅力。新しいデザインの中に、こうした骨格をどう残すかが腕の見せどころです。
職人さんとの再会と、つながりの面白さ
外では板金屋さんが作業を進めていました。
話をしていると、なんと普段から仲良くしている不動産会社さんの親族関係にあたる方だそうで、「やっぱり京都ってつながってるなぁ」と笑ってしまいました。

こういう雑談の中で、思いがけず人や仕事の縁がつながっていく。
その距離の近さも、京都で店舗デザインや施工をしている仕事の醍醐味やなと思います。
“現場のきれいさ”は、信頼の証
それにしても、今回の現場は本当にきれいです。
お客様の会社では、ちょうど採用の面接も進めておられるようで、まずは応募される方に現場を見てもらってから面接をされているそうです。
これって本当に素敵なやり方で、
もし現場が雑然としていたら、働くイメージも少し変わってしまうかもしれません。
だからこそ、日々の現場を整理整頓しながら進めてくれるスタッフや職人さんには、心から感謝しています。
社内でも普段から「現場を大切に」と話しているけど、実際に立ってみると、やっぱり言葉以上に伝わるものがあります。
現場では自然と会話が弾むし、普段の打ち合わせでは出てこないアイデアも生まれたりします。
居心地が良すぎて、つい長居してしまうこともしばしば。
庭と照明、これからの楽しみ

ナガサワさんから聞いた話では、今回は庭のデザインも楽しみなポイントとのこと。
過去の工事で出会った庭師さんとの協業になるそうで、「この小さなスペースをどう活かすか」を一緒に考えてくれています。

照明についても、すでにいろいろ構想があるようです。
ナガサワさんはもともと照明デザイナー出身ということもあり、光の扱いには人一倍こだわりがあります。
「ただ明るくするんじゃなくて、どう“空気を照らす”かが大事なんです」と話す彼女の言葉を聞いて、
なるほどなぁと頷いてしまいました。
完成したとき、夜の町家がどんな表情を見せてくれるのか、今から本当に楽しみです。
不動産と建築、両方の視点で進める
この現場、実は隣の町家も現在テナント募集中なんです。
御池通から南に下ったエリアの中でも、ちょうど中心に位置する希少な町家物件。
そしてこの2軒はテラスの関係で、消防設備なども連動して考える必要があるため、
一方の工事がもう一方にも影響してきます。
そういった不動産と建築の両方の視点を持ちながら調整していくのも、
僕たちコトスタイルが培ってきた店舗施工の知恵の一つです。
お客様が安心して開業できるように、裏側の細かな調整までサポートしていきます。
京都の町家が“今”に溶けていく
古い町家が新しいお店へと生まれ変わり、
そこに働く人が笑顔になり、訪れる人も自然と笑顔になる。
そんな“人が集まる景色”が、少しずつ増えていくことが本当にうれしい。
町家という建物は、守るだけではなく、活かすことで次の世代につながっていく。
今回の現場も、そんな循環の一部になっていくはずです。
これからどんどんお店の形が見えてくるので、また近いうちに続報をお届けします。
どう変わっていくのか、ぜひ楽しみにしていてください。
京都で300件以上の店舗づくりを手がけてきたコトスタイルでは、
物件探しからデザイン設計・施工、開業までをワンストップでサポートしています。
私たちが大切にしているのは、
“お客様の想いを丁寧に受け取りながら、街に新しい景色を生み出していくこと。”
町家を活かしたお店づくり、路面店の改装、オフィスやサロンなど、
これまでの事例を通して、その想いを少しでも感じていただけたらうれしいです。