

店舗づくりのプロが語る「物件紹介以上」の価値
僕たちコトスタイルのメイン業務は「お店をつくること」です。とはいえ、空間デザインや施工に入る前段階である“テナント探し”は、お客様にとって最初の大きなハードル。だからこそ、僕たちは不動産仲介業務にも本気で取り組んでいます。テナント仲介を始めてから、気づいたことがたくさんあります。
気づき1:テナント仲介は実は手間がかかる
事業用の貸店舗の仲介業務は、居住用とはまったく違う難しさがあります。成約時には賃料1か月分の手数料が発生するため、表面上は収益性が高く見えるかもしれません。しかし、実際にはそれ以上の手間と時間がかかります。
住居と違って、店舗は“完成品”ではありません。設備や内装の有無、希望業種による条件の違い、さらには工事の可否まで確認すべき点が山ほどあるからです。
また、調査のたびに工務店さんに現場を見てもらい、鍵の開け閉めやスケジュール調整など、不動産会社としての動きも重なってきます。こういった背景から、テナント仲介を積極的にやりたがらない不動産業者さんも実は少なくありません。
気づき2:物件紹介で終わらせない責任感
一般的な不動産会社では、契約が済んだ時点で業務終了という考え方が多いようです。しかし、僕たちはそこからがスタートだと思っています。
- 看板の設置は可能か?
- 外装は触れるのか?
- 排気ダクトは設置できるのか?
こういった開業後に直結する情報を、仲介の段階から押さえておく必要があるのです。さらに、退去時の原状回復や予告期間など、事業の継続性に関わる条件も事前に把握しておかないとトラブルになりかねません。
これは、僕たちが“施工”も手掛けるからこそ見える視点であり、設計者・工事者としての立場を持ちながら仲介にあたることができるのが、私たちの強みだと感じています。
気づき3:物件探しの価値を再定義する
施工を依頼されるお客様だけでなく、「物件だけ紹介してほしい」という相談も年々増えてきました。正直に言えば、物件だけの仲介では経済的に効率がいいとは言えません。でも、関わらせてもらったからには、本気で応援したいという想いがあります。
空きテナントを見るだけでも、新しい業態や事業の可能性が広がっていく。だから僕たちは、ただ“紹介する”だけではなく、“この物件で何ができるか”まで一緒に考えるようにしています。
仲介と施工の掛け算で、未来を変える
正直、今の不動産業界には「契約して終わり」という価値観が残っている部分もあります。でも僕たちは、設計や施工、さらに開業後まで見据えた一貫した視点でサポートすることで、テナント仲介という業務そのものの価値を変えていけるのではないかと信じています。
「テナント仲介=ただの物件紹介」ではなく、「未来の事業を共につくるパートナー」として関われるよう、これからも取り組んでいきたいと思います。
そんなことを考えた今日この頃でした。