

何でもできるより、“これだけは負けない”が選ばれる。少数精鋭で勝つための出店計画とは
孫子曰く、我は専りて一と為り、敵は分かれて十と為らば、十を以て其の一を攻むるなり。
『孫子の兵法』から一節ご紹介します。
この言葉は、今で言う「選択と集中」の考え方。
「自分たちは一点に集中し、相手が多方面に手を広げているなら、その一点に全力でぶつければ勝てる」という意味です。
これは、テナント開業や店舗デザインを考える際にも非常に有効な戦略だと感じています。
開業時にこそ必要なのは「絞る勇気」
私たちが日々サポートしている京都でのテナント出店。
多くの方が、最初は小さなスタートから始められます。人手も限られ、予算も限られる中で、全方位に手を広げるのは現実的ではありません。
そこで大切なのが、「誰に」「何を」届けるかを明確にすること。
あれもこれもやりたい気持ちをグッとこらえ、“ひとつ”に絞ることが、実は成功への近道なんです。
選ばれるには「特化」が必要
たとえば、「ケーキ屋さんを開きたい」という場合。
一般的にはショートケーキ、モンブラン、タルト……いろいろな種類を揃えるかもしれません。
でも、ここで“チーズケーキ専門店”に特化してみたらどうでしょう?
素材にこだわる。種類のバリエーションをとことん追求する。チーズの産地に詳しくなる。
気づけば、お客様の頭の中に「チーズケーキといえばあのお店」というイメージが刷り込まれます。
その結果、情報が埋もれにくく、選ばれやすくなる。
つまり、「店舗の個性=選択と集中」が、ブランディングと集客の両方に効いてくるのです。
京都という土地では、“こだわり”が武器になる
京都には、独立系のお店や個性あるショップが数多く存在します。
観光客も地元の方も、“なんとなく良さそう”なお店ではなく、“ここにしかない”というお店に強く惹かれます。
そういう意味でも、京都のテナント開業には「選択と集中」がとても有効です。
- 店舗デザインに「らしさ」を込める
- 商品に一貫したこだわりを持たせる
- ターゲットに徹底的に寄り添う
「一つに絞ること」で、その分野における深みと強さが出てきます。
そして、それは他店では思いつかない価値につながっていくのです。
デザインにも、“選ぶ”という戦略を
店舗の内装・設計でも同じことが言えます。
たとえば、ナチュラルな空間・和モダン・アートギャラリー風……どの方向性も魅力的ですが、全部を混ぜてしまうと、結局印象に残らない。
だからこそ、誰に来てほしいのか、どんな体験を届けたいのかを明確にしてから、その世界観に合った設計を行うことが大切です。
コトスタイルでは、お客様との対話を通して“選ぶべき1点”を明確にし、そこに集中した店舗デザインを提案しています。
まとめ|何でもできるより、「これだけは誰にも負けない」店を
開業においては、「あれもやりたい、これもやりたい」と広げるよりも、絞って深めることが最も強い武器になります。
たとえば、
- カレーなら“スパイスカレー専門”
- 美容室なら“くせ毛に特化”
- 雑貨屋なら“京都の作家作品のみ”
こうした絞り込みが、競合がひしめく京都のまちでも、際立つテナントをつくる鍵になります。
最後に、もう一度、孫子の言葉を噛みしめてみましょう。
我は専りて一と為り、敵は分かれて十と為らば、十を以て其の一を攻むるなり。
選択と集中。
それは、小さな力でも、大きな相手に勝てる戦い方。
これから京都でテナント開業を目指す方にも、ぜひこの考え方を参考にしていただければと思います。