

おはようございます。コトスタイルの穴澤です。
今日は、下京区市部町でスタートした酒屋さんの現場について書いてみようと思います。前回は背景や考え方の話が多くなってしまったので、今回は現場で今何が起きているのかを中心にまとめました。写真と一緒に、工事が始まったばかりの状態をお伝えできればと思います。
市部町という場所で工事が始まっています

場所は下京区市部町。七条通りを御前通から少し北に入ったあたりです。丹波口エリアや京都中央市場が近く、最近は飲食店も少しずつ増えてきています。派手な立地ではありませんが、「ちゃんと店をやれば、ちゃんとお客さんがつく」エリアだと感じています。
建物の外には、コトスタイルの工事お知らせ看板を掲示しています。まだ見た目には大きな変化はありませんが、内部ではすでに工事が動き始めています。こういう段階の現場は、完成後にはなかなか見られないので、思い出にパシャっと撮影しちゃいます。
手前スペースの整理から始める現場づくり

今回の現場で、まず最初に整えたのが手前のスペースです。写真にもあるように、ボード材をきれいに積み、作業スペースと通路をしっかり確保しています。正直、こういうところは完成後には一切見えません。でも、現場を安全に、スムーズに進めるためにはとても重要です。
材料が雑に置かれていると、作業効率が落ちるだけでなく、ケガやミスの原因にもなります。現場の段取りは、デザイン以前の話ですが、結果的に仕上がりにも影響します。こうした基本的な部分を丁寧にやることを、僕たちはずっと大切にしています。
入口から奥まで、まだ何も決まっていない空間

入口から中に入ると、奥へと細長く続く空間が見えてきます。現時点では、壁も床もまだ途中段階で、「お店らしさ」はほとんどありません。ただ、図面と現場を見比べながら立ってみると、ここが売り場になり、ここに人が立ち、ここで会話が生まれる、というイメージは自然と浮かんできます。
出店を考えている方の中には、「完成してからでないと想像できない」という方も多いですが、実際の現場では、この段階で方向性がほぼ決まります。だからこそ、工事の初期段階でしっかり話をすることが大切だと思っています。
町家の構造をどう扱うかという判断

今回の物件は町家です。吹き抜けのある構造や、昔ながらの柱・梁が残っています。すべてを新しくすることもできますが、それが正解とは限りません。どこを残し、どこを変えるかは、現場で実際に見ながら判断します。
図面上では問題なく見えても、現場で見ると印象が違うことはよくあります。高さ、奥行き、光の入り方、音の響き方。そうしたものを確認しながら、職人さんと相談しつつ進めています。町家の工事は、事前の想定どおりに進まないことも多いですが、その分、丁寧な判断が求められます。
手書きのメモが残る現場

電気工事に関する手書きのメモも、今回の現場らしい一場面です。設備工事は、現場ごとに条件が違います。図面だけで完結することはほとんどなく、その場で確認し、調整しながら進めていきます。
こうしたメモは、いわば現場での打ち合わせの痕跡です。どこに配線を通すか、どこにスイッチを設けるか。細かいことの積み重ねですが、使いやすさに直結する部分でもあります。
お客さんのDIYを前提にした進め方

今回の現場で特徴的なのが、お客さん自身がDIYで仕上げを行う予定だという点です。奥のスペースでは、大工さんが床の下地工事を進めていますが、最終的な仕上げはお客さんが手を入れます。
すべてを完成させて引き渡すのではなく、「ここから先は自分でつくる」という余白を残す。この進め方は、簡単ではありませんが、お店への愛着は確実に深くなります。自分で手を動かした空間は、簡単には手放せないですし、自然と大切に使われます。
こうした進め方を理解してくれるお客さんと一緒に仕事ができるのは、僕たちにとってもありがたいことです。
年末年始をまたぐ現場ならではの難しさ
今回は年末から始まった工事なので、年末年始をまたぐ工程管理が必要になります。どこまでを年内に終わらせるか、どの状態で年を越すか。これは毎回悩むポイントです。
中途半端な状態で止めると、年明けの再開がやりにくくなります。一方で、無理に詰め込むのも良くありません。職人さんとも相談しながら、年明けにスムーズに再開できるところまでを年内の目標にしています。こうした調整は目立たない部分ですが、現場を安定して進めるためには欠かせません。
出店を考えている方、そしてこれから一緒に働くかもしれない方へ
このブログは、これから出店を考えている方に向けて、現場の実際を知ってもらえたらという思いで書いています。完成写真だけではなく、工事の途中でどんな判断をしているのかを知ることで、出店に対する不安が少しでも減ればうれしいです。
また、将来コトスタイルで働くかもしれない方にも、こういう現場が日常だということが伝わればと思っています。現場は大変ですが、学ぶことは本当に多いです。設計だけ、工事だけではなく、全体を見ながら進める仕事に興味がある方にとっては、面白い環境だと思います。
この酒屋さんも、まだ工事の途中です。完成したら、きっと「一度行ってみたい」と思ってもらえるお店になるはずです。その日を目指して、引き続き現場を進めていきます。





