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京都・店舗デザインの現場から考える、エコシステム・ディスラプションの学び

顧客起点で関係性を築くビジネスのつくり方

ジョブ理論、そしてワイドレンズを通して、今のビジネスがどう進化していくべきか、少しずつ自分の中でも考えが整理されてきた感覚があります。

そんななか、次の課題図書として読んだのが『エコシステム・ディスラプション』。これまでの学びがさらに深まり、改めて「ビジネスの本質って何だろう?」と考える一冊でした。

僕たちコトスタイルは、京都を拠点に店舗デザイン事業、テナント仲介、空き家活用事業を手がけています。街とお店の関係性がどう変わっていくのか、そのなかで僕たちがどう関わっていけるのかを日々考えているなかで、今回の学びはすごく参考になりました。

コダックの教訓:誤ったゲームで戦わないために

冒頭のコダックの失敗事例はやはり強烈でした。フィルムの需要が大きく変わりはじめていたのに、コダックは「お客様は今でも昔と同じ理由でフィルムを求めている」と信じていた。でも実際には、デジタルカメラやスマホが普及して「写真を撮って楽しむ方法」そのものが変わっていた。にもかかわらず、昔のやり方に固執していたため、ビジネス全体が崩れてしまった。

僕たちが京都で店舗デザインやテナント開発の仕事をしていても、お客様の価値観や行動が変わっていることに気づけないと、同じリスクがある。これはすごくリアルな教訓だと感じました。

エコシステム構築の重要性と難しさ

「ワイドレンズ」で学んだように、今は顧客のジョブを解決するのを自社だけで担う時代ではない。これからはエコシステムという形で、さまざまなプレイヤーと協力して価値を届けていく時代。

頭では理解していたつもりでしたが、いざ京都の空き家をテナントに活用する事業や新しいプラットフォーム事業を考えていくと、行動に移す難しさを改めて感じます。

本書でもエコシステム構築におけるリスクと配慮の大切さがしっかり描かれていて、改めて身が引き締まりました。特に印象に残ったのは、すべてのプレーヤーに配慮したビジネス設計が不可欠ということ。これはワイドレンズで学んだ「アダプションチェーンリスク」にもつながります。

エコシステムはプレイヤーの連鎖で成り立つもの。そのどこかひとつに欠陥があると、全体の機能が損なわれてしまう。

僕たちも今、京都の店舗デザイン事業空き家をテナントとして活用する取り組み、テナント・空き家所有者・宅建士をつなぐプラットフォーム構想などを進めるなかで、この点には特に意識して取り組みたいと感じています。

リーダーシップの再定義とMVEの大切さ

もうひとつ、今回の本で改めて響いたのがリーダーシップの捉え方。エコシステムの中では、以前のような「自分たちが支配的なリーダーになる」という発想は逆効果になりかねない。むしろすべてのプレイヤーがそれぞれの役割でリーダーシップを発揮できるような環境づくりが求められる。

特に印象に残ったのが、「他社がこちらと何をしたいのか?」という視点で考えること。つい「自分たちがこうしたい」に意識が向きがちだけれど、他社が自分たちと何をしたいと思っているのか、どんな価値を一緒に作っていきたいのか。そこから発想を始めることがとても大切だと感じました。

これはまさにMVE(Minimum Viable Ecosystem)の考え方にもつながります。

すべてを完璧に整えてから動き出そうとせず、小さくても価値あるエコシステムから始めて、そこから育てていく。
この柔軟なアプローチは、僕たちのプラットフォーム事業にもぜひ取り入れていきたいところ。

また、エコシステム構築のタイミングについても本書では強調されていて、早く進めすぎても失敗につながるし、慎重すぎてもチャンスを逃すという点はすごく納得感がありました。だからこそ、今の自分たちの状況や市場の動きをよく見ながら、動き出すタイミングをじっくり見極めていきたいと思います。

顧客起点のエコシステムづくりへ

今回の本を通じて一番心に残ったのは、エコシステム構築の出発点は「他社が自分たちと何をしたいか」から考えるべきだということ。そこから「自分たちが目指す世界はどんなものか」を描き、その実現に向けてどういうエコシステムを築いていけばいいのか。

僕たちが今取り組んでいる京都の店舗デザイン事業でも、空き家をテナントとして活用する事業でも、テナント・空き家所有者・宅建士をつなぐ新しいプラットフォーム事業でも、この視点はしっかり大切にしていきたいと思っています。

学びを生かして変革を進める

今年は、既存事業と新規事業の両方に新しい変化を加えていきたいと考えている一年。ジョブ理論 → ワイドレンズ → エコシステム・ディスラプションと学んできた流れを、京都の店舗デザインやテナント開発、空き家活用といった現場の実務にどう活かしていけるかを一つひとつ丁寧に考えていきたい。

焦らず、でもしっかりと、顧客起点でのビジネスづくりを実践に落とし込んでいきたい。そんなふうに感じた一冊でした。

そして、課題図書はまだまだ続きます。笑
また次回も、学びと気づきを楽しみながら進めていきたいと思います。