

出店前の「迷い」をほぐす──経営大学院で学んだ論理の三角形をお店づくりに活かす
はじめに──迷いがあるのは、進もうとしている証拠
「この場所でお店をやりたい」「こういうお店ができたらいいな」──そう思い始めたときって、ワクワクと同時に、言葉にならない不安や迷いが出てくることも多いと思います。物件、内装、お金、人、タイミング……。どれも大事だからこそ、考えがまとまらない。
そんなとき、自分の考えを“整理する枠組み”があるだけで、気持ちが少し軽くなることがあります。
今回は、僕がグロービス経営大学院で学んできた「クリティカル・シンキング」の中から、「論理の三角形」という考え方を紹介しながら、出店前のモヤモヤと向き合うヒントをお届けできたらと思います。
論理の三角形って、なんやろう?
「論理の三角形」は、シンプルに言うと、
- 主張(こうしたい)
- 根拠(なぜなら)
- 事実(たとえば)
という3つの要素で考えを整理していく方法です。
たとえば「このテナントで開業したい」と思ったとき。
- 主張:「この物件に決めたい」
- 根拠:「立地がターゲット層とマッチしている」
- 事実:「近隣には学生向けの飲食店が多く、回転率も高い」
こうやって分けて考えることで、自分の判断が感覚だけではなく、筋道のあるものになっていきます。
お店づくりの現場でどう使える?
この「論理の三角形」、実はテナント仲介でも設計でも、現場でめちゃくちゃ使っています。
たとえば、
なぜこのデザイン? → 店の世界観を伝えるため(根拠)、具体的には家具の色や素材の統一感(事実)
なぜこの設備? → 業務効率を上げるため(根拠)、スタッフ動線が短くなる配置(事実)
「これが良いと思います」だけじゃなく、「なぜそれが良いのか」をセットでお伝えできるようにすると、お客様の意思決定もスムーズになるし、何より安心感につながるんですよね。
整理してみると、自分でも納得できる
この考え方のいいところは、誰かに伝えるためだけじゃなくて、自分の中でも「そうか、だから自分はこうしたいんやな」と納得できることです。
店舗開業って、気持ちが前に出やすい分、焦って進んでしまうこともある。でも、「なんでそうしたいのか」を1回立ち止まって整理してみると、自然と優先順位が見えてきたり、誰かに相談しやすくなったりします。
実際に、僕たちコトスタイルでも、お客様とのヒアリングの中でこの三角形を意識して会話していると、「うまく言えなかったことがスッと出てきました」と言ってもらえることがよくあります。
まとめ──“言葉にする”ことが、準備の第一歩になる
考えがまとまらないまま進んでしまうと、あとで「やっぱり違ったかも」と立ち止まることになりがちです。
でも、「なぜそうしたいのか」「その判断はどんな根拠と事実に支えられているのか」を整理してみると、出店に向けた準備が、ちゃんと“自分の軸”に乗って進んでいく感覚が出てきます。
次回は、この整理した考えをどうやって「相手に届けるか」についても触れていきたいと思います。
京都・大阪・滋賀でお店づくりを考え始めた方が、自分の想いを整理して、一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。