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京都・店舗デザインの現場から考える、顧客体験価値とジョブ理論

「ドリル」と「穴」に学ぶ、これからの価値づくりのヒント

僕たちコトスタイルは、店舗デザインの仕事を通じて、お客様の想いが詰まった場をカタチにしています。最近では、空き家をテナントとして活用する取り組みにも本気で取り組んでいて、街の景色をもっと良くしていけたらと挑戦しています。

そんな現場にいると、「顧客体験価値とはなんだろう?」という問いを考えることが増えてきました。ただ、日々の仕事に追われていると、ついつい「モノを提供する」側の目線に偏りがちになる。そんなときに今回読んだ『ジョブ理論』は、あらためて お客様の側に立って考えるきっかけをくれた一冊でした。

ジョブ理論を再読して見えてきたこと

ここまでプラットフォームビジネスやテクノロジーの変化について学んでくるなかで、「顧客体験価値をどう理解して届けていくか」が、やっぱりとても大切なんだと感じていました。

そんななかでの今回の課題図書はジョブ理論。以前にも一度読んでいたんですが、今の自分で読み返してみると、まったく違う発見がありました。

この「ドリルと穴」の話はよく知られています。ドリルを買う人は、ドリルそのものが欲しいわけじゃない。「穴を開けたい」から買っているんだと。読みながら、「これ、自分たちの仕事でも本当にできているだろうか…?」とふと思ったんです。

たとえば、店舗デザイン。僕たちは「おしゃれなお店を作ること」に意識が向きすぎてしまうときがある。でも出店者さんが本当に求めているのは、その先にある「お客様が来てくれること」だったり、「商売が成り立つこと」だったりする。

その「穴」をちゃんと見えているだろうか?この問いは、まさにジョブ理論の核心なんだとあらためて感じました。

自分たちの現場でどう活かせるか

コトスタイルの仕事は、一度お店を作ったら終わりではありません。むしろそこからが本番、と言ってもいい。だからこそ、出店者さんや空き家所有者さんが「本当に片付けたいジョブ」を理解することが、僕たちの仕事の質を大きく左右すると思っています。

出店者さんにとっては、「良い内装を作ってほしい」よりも「お店が繁盛してほしい」「理想のお客様に来てもらいたい」が本当のジョブかもしれない。

空き家所有者さんにとっては、「空き家を貸したい」よりも「空き家にちゃんと価値を生み出してほしい」「信頼できる相手に使ってほしい」がジョブなのかもしれない。

そう考えると、僕たちの関わり方や提案の仕方もきっと変わってくる。テクノロジーを活用して、新しい解決策も見えてくるかもしれない。

各事業でどう活かしていくか

今回この本を読みながら、コトスタイルの事業全体にもジョブ理論の視点をもっとしっかり取り入れたいと思いました。

たとえば、店舗デザイン事業では、これまで以上に「出店後の商売の成功」まで視野に入れたサポートを強化したい。そのためには、ヒアリングの段階から「お客様が何を叶えたいのか」をもっと丁寧に聞き出していくことが重要になる。

空き家→テナント活用事業では、空き家所有者さんの「ジョブ」が何なのかを深く理解して、その「穴」をしっかりと埋める提案をしていきたい。今まさに相談が増えているなかで、この視点をチーム全体に根付かせていきたいと思っています。

プラットフォーム事業でも、テクノロジーを活用して「空き家と宅建士をどうつなぐか」だけじゃなく、宅建士が感じているジョブ、空き家所有者が感じているジョブをしっかりと読み取って、サービス設計をしていきたい。

スタッフと一緒に進めていきたい

今回の学びは、僕一人が理解して満足して終わりでは意味がない。これからはスタッフとも、こういう視点を一緒に考えていきたいなと思っています。まずは、お客様と向き合うときに「この人が本当に片付けたいと思っているジョブはなんだろう?」と問いかける習慣を持つところから。少しずつでも、チームのなかにこの視点が根付いていけば、コトスタイルの価値提供ももっと深まっていくはず。

事業の軸はぶらさずに、広げていきたい

僕自身、これからもコトスタイルの事業の軸は大切に守りながら、その延長線で、より良い街づくりや価値づくりに自然と広がっていくような挑戦を続けていきたいと思っています。

今回の学びは、店舗デザイン事業にも、空き家テナント活用事業にも、プラットフォーム事業にも通じるもの。お客様のジョブを正しく理解することこそ、これからのビジネスづくりの基盤になると強く感じました。

まだまだ学びは続きますが、こうやって少しずつ深めていけることを楽しみながら、また次に進んでいきたいと思います。