

数年前までは、モバイル扇風機なんて中国からの観光客が首にぶら下げてるイメージやったのに、今ではみんな持ってる。気づけば自分も持ってるし、正直これなしでは過ごせへんくらい暑い。夏の現場なんて、もう空調服が普通になる日も近いんちゃうかな、って本気で思ってる。
そんな猛暑の中でも、新しくお店を出そうと動いてる人はたくさんいる。けど、その分だけ“失敗”の話も耳に入ってくる。資金が足りなくなった、思ったよりお客さんが来なかった、工事が終わらずオープンがずれ込んだ……。原因はさまざまやけど、やっぱり共通してるパターンがあるなぁ、と。
今日は「京都でよくある店舗開業の失敗例」と、その失敗を回避するためのヒントをまとめてお話します。
資金計画の甘さは開業後すぐに響く

いちばん多いのは、資金計画の甘さ。
特に京都のように物件の家賃がエリアで大きく違う街では、「想定より固定費が高かった」っていうのが致命傷になりやすい。内装デザインや施工費用に力を入れたくなる気持ちは分かるけど、最初の投資でギリギリまで使ってしまうと、運転資金が残らない。
開業後3ヶ月くらいで「あれ?売上はあるのに、キャッシュが足りない」という声をよく聞きます。これは、予算をオープン準備に全部つぎ込んでしまって、スタートしてからのランニングコストが回らなくなる典型的なパターン。
対策のポイント
- 初期投資と運転資金は必ず分けて考える
- オープンしてから半年〜1年の固定費(家賃、人件費)は最低限確保しておく
- 自己資金と借入金のバランスを慎重に
こういう資金の計画って、銀行や税理士だけに頼るんじゃなくて、「実際に店舗を立ち上げたことがある人」にも聞くのがいいです。現場感覚のアドバイスは、机上の計算以上に役立つことが多い。
物件選びの段階でつまずく

次に多いのは、物件選びで失敗するパターン。
「この物件、安い!」と思って決めたら、実は想像以上に工事費がかかる場所だった、というのは本当によくある。特に町家や古いビルは、表から見える部分だけじゃ判断できない。床をめくったら配管が全部やり直しだったとか、壁を開けたら耐震補強が必要になったとか、そういう追加工事が出てくると一気に予算がふくらむ。
それと、立地だけで決めるパターンも危ない。人通りが多くても「自分のターゲットじゃない人たち」ばかりだと、全然集客につながらない。逆に、少し奥まったところでも、そのエリアの生活圏と合っていればちゃんとお客さんは来てくれる。
対策のポイント
- 現地を複数回のぞいて「誰が通る通りなのか」を確認する
- 建物の状態を専門家に見てもらってから契約する
- 家賃の安さだけで決めない
僕らが物件探しをサポートするときも、実は「この場所はやめといたほうがいい」ってお伝えするケースが結構あります。それは、あとで余計に費用や時間を失うことが見えてるからです。
デザインの方向性がずれる
そして3つ目が、デザインのズレ。
デザインって、ただおしゃれにすればいいわけじゃない。大事なのは「どんなお客さんに、どんな時間を過ごしてもらいたいか」。そこがあいまいなままデザインだけ進めてしまうと、「きれいだけど落ち着かない」「おしゃれだけど入りにくい」みたいな空間になってしまう。
特に、設計会社と施工会社を別々に選ぶ場合に多いのが、「図面通りにできない」「コストオーバーで急に仕様が変わる」というケース。理想が途中で変わってしまって、最初のコンセプトがなくなることもあります。
対策のポイント
- デザインを始める前に、コンセプトを文章にして共有する
- 施工とデザインを一体で進めるチームを選ぶ
- お客さん目線での動線や雰囲気を優先する
僕らコトスタイルは「デザイン設計と施工を一貫してやる」ことを強みにしてますが、それは単にラクだからじゃなくて、「ズレないように」するためです。打ち合わせで決めたことを、現場までちゃんと届けるために、一社でやるメリットが大きいんです。
人材・スケジュール・オープン後に潜む“落とし穴”
スタッフ採用の遅れ
オープンが近づいてから「スタッフが集まらない」と慌てる方も多いです。京都は観光地ということもあって、飲食・サービス業の求人倍率が高い。オープン2週間前から募集をかけても、なかなか集まりません。
実際に、河原町でカフェをオープンしようとしたお客様は、直前になってアルバイトの応募がゼロという状態に。そこから急遽SNSで友人に呼びかけ、プレオープンを見学会形式で行ったことで「友人の友人」から応募が集まり、なんとかオープンに間に合ったという例がありました。別の例では、祇園のレストランで、オープン前の2か月間をスタッフの練習期間にあてて地域のコミュニティで顔を覚えてもらったことで、初日からスムーズに営業できたケースもあります。
対策のポイント
- 物件契約と同時に求人を始める
- 研修期間を確保して、オープン前に雰囲気を作る
- 地域の人や顧客層を巻き込んだイベントを事前に行い、採用を兼ねる
スケジュール管理の甘さ
工事中の天候不順や、備品・什器の納期遅れ。こうした遅れが積み重なるとオープン日がずれます。ゲリラ豪雨や真夏の熱波は現場にも影響大。だからこそ、余裕をもった計画が大切です。
例えば、七条の焼き菓子店では、内装工事中の資材が豪雨で遅れ、完成が1か月後ろ倒しになった経験があります。これをきっかけに次の新店舗では1か月の余裕期間を最初から組み込む計画に切り替え、結果として大きなトラブルなくオープンできました。別の例では、家具の納品が間に合わず仮のテーブルでスタートしたけれど、逆に「プレオープン」の形で集客し、常連づくりのきっかけになったケースもあります。
対策のポイント
- 開業日を「絶対」ではなく「目安」として設定
- スケジュール管理できるパートナーを選ぶ
- リスクを想定して、代替案を用意しておく
オープン後のマーケティング不足

開店してから「SNS投稿をどうしよう」「チラシを作ろう」と動き始める人もいますが、これも遅い。集客動線はオープン前から作る必要があります。
実際に、左京区でカフェを始めたオーナーは、オープン前から1日1回SNSに工事の様子を載せていました。結果、オープン初日にはすでにフォロワーが来店してくれて、スタートから予約が埋まりました。もう一つ、嵐山エリアの雑貨店では、Googleビジネスプロフィールを早めに整備し、地図検索で「新しい店ができる」と話題になったことで初日から観光客が足を運んでくれる流れができました。
対策のポイント
- 開業前にSNSやGoogleビジネスプロフィールを準備
- 地域のターゲット層に合わせた広報を前倒し
- 工事中から発信してファンをつくる
その他に潜む落とし穴と成功事例
・メニュー開発が遅れてオープン直前で徹夜状態になった例。これを機に、次の店舗では専門家に早めに依頼して事前テストを繰り返した。
・設備投資で予算を超えたが、中古機器を活用して初期コストを抑えた成功例。
・地域の人への挨拶を後回しにした結果、近隣トラブルになったが、オープン後に改めて交流イベントを開き信頼を取り戻した事例。
まとめ:失敗は“準備不足”から生まれる
京都で店舗を開くときは、物件、資金、デザイン、スタッフ、集客。すべての要素を同時並行で整える必要があります。
コトスタイルでは、これまでの開業サポートの経験から、最初の一歩から伴走します。暑さにもゲリラ豪雨にも負けず、計画的に進めるサポート役として、安心して頼ってもらえたらと思います。
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