

こんにちは、コトスタイル代表の穴澤です。今回は「京都でテナントを借りよう」と考えたときに避けて通れないテーマ、家賃についての話をしてみようと思います。
いやあ、気づけばテナント仲介をはじめて14年。ようやく最近になって、ちょっとだけわかってきたことがあります。
それは、家賃って意外と“ざっくり”決められてるってこと。坪単価×広さ=家賃、という公式はあるけれど、現実はもっと生々しいというか、人間くさい世界やなぁと思わされることが多いんです。
家賃相場には“ふわっと感”がある
「この場所、家賃高すぎへん?」と思ったら、ちょっと時間を置いてまた見てみてください。もしくは、直接聞いてみてもいい。実際、昔10万円だったテナントが、今は40万円になってることもあります。逆に下がったという話は、正直あまり聞かなくて。まあこれはかなりレアな事例ですが、、、でも値動きは結構あるのと、やっぱり基本価格は下がりにくい。
なぜかというと、物件の販売価格自体が上がってきてるからなんですよね。売る値段が高くなると、当然それを貸す家賃も上がってくる。そういう構造が背景にあるので、結果的に家賃も右肩上がりになっていく。たとえば僕が10年前に通っていたお店では、御所南にある町家のテナントで、月額20万円やったんですよ。それが今や、同じ建物の1階で40万円超え。ちなみにこの物件、定期借家契約での運用だったんですが、退去が決まってしまって。とても素敵な飲食店だったんですが……本当に惜しいなと思いました。もちろん立地の人気も上がってるし、需要が増えた背景もあるけど、「え、そんなに上げる?」って思うことも、正直あります。
少し前に、四条西洞院で長くお店をされていた方がいらっしゃって。10万円で借りられていたんですが、立ち退きにあって、新しい物件を探すことになって。久しぶりに一緒にエリアを歩いてみたんですけど、もうその金額帯ではまったく見つからないんですよね。あのときの表情が忘れられなくて……。「昔はこのへん、そんなに高くなかったんやけどなあ」って、しみじみされていました。
実際、四条烏丸や河原町といった繁華街の中心地が高いというのは昔からあったけれど、最近はその“高いエリア”が少しずつ外側に広がってきてる印象があります。綾小路や仏光寺、御所南あたりが「狙い目」と言われていた時期もあったのに、今では高辻や五条、さらには四条大宮近辺まで相場が上がってきている。
だからこそ、これから伸びそうなエリアを見極める目を持つことも大切やと思ってます。ただし、それだけで決めないでほしい。何より大事なのは、自分がやりたいことがその場所でちゃんとできるかどうか。それが実現できるかどうかで、家賃の感じ方も変わってくると思います。
でもこれって、家主さんのさじ加減でもあるんですよね。
「飲食OKにしたから、賃料はちょっと高めに設定してる」とか、「前の借主が長く使ってくれてたから、据え置きにしてる」とか。あるいは、素人感覚で「内装がきれいだから家賃ちょっと上げとこうか」みたいな判断も実際あったりします。そんなふうにして、坪単価の“相場”とは違う価格が出てくる。
だから大事なのは、相場だけで判断しないことやと思ってます。
掛け合う価値はある
「でも、それってもう決まってるんちゃうん?」とよく言われます。たしかに、募集要項に書かれている賃料は一つの目安。でも、そこからちょっと交渉してみるだけで、条件が変わることもあります。
たとえば、
- 2階や地下など、視認性が下がる場所
- スケルトン渡し(内装がない状態)
- 飲食店不可など用途が限られている物件
こういった条件のテナントでは、家賃交渉が通りやすいことも。
僕らもよく、「もう少し予算抑えられたらいいんですけど」と一緒に掛け合う場面があります。そのときに大事なのが、出店者さんの本気度が伝わるか。しっかりとした事業計画や想いがあれば、家主さんも耳を傾けてくれやすくなります。
それに加えて、テクニカルに条件の整理や交渉を一緒に考えてくれる不動産会社さんがいると、心強いんですよね。不動産会社さんが「家主さんはこう考えるから、こんな伝え方がいいかも」とか、「この条件を整理して交渉してみようか」といった提案をしてくれることもあって。そういう掛け合いも含めて、物件探しって意外と面白いもんやと思います。
交渉って、損得の話だけじゃないんですよね。人と人のやりとりやから。ちゃんと準備して、丁寧に伝えることが大事やと思ってます。
飲食店は高くなる傾向も
もうひとつ、知っておいてほしいのは飲食OK=高め設定という傾向。
できる場所がそもそも限られてるうえに、貸す側からしても一定のリスクがある。だからこそ高めになるんです。
これは理由がいくつかあって、
- 厨房設備や排気ダクトなど、建物にかかる負荷が大きい
- ゴミの量や臭い、音など近隣トラブルのリスク
- 居抜きや設備付きであれば、その分上乗せされている
こうした背景があるため、家主さんとしても「飲食OKにするならその分は回収したい」と考えるのは、ある意味当然なんです。
だから、「同じ場所・同じ広さでも、飲食OKの物件はちょっと高いな」と思ったら、それは設備やリスク対応分が含まれてると考えてもらった方が納得しやすいかもしれません。
とはいえ、可能性がゼロなわけじゃなくて。匂いが出にくい工夫をしていたり、人に迷惑をかけない運営ができそうだと伝えられたら、それが交渉材料になることもあります。
実際、「飲食不可」とされていた物件でも、丁寧に説明することで相談が通った、というケースもこれまでに何度かありました。
自分に合った“ちょうどええ家賃”を見つけるには?
結局のところ、「相場が○○円だから」「他より安いから」ではなく、自分の事業に合っているかどうかがいちばん大事です。
たとえば、月商が50万円見込めるお店で、家賃が25万円ではちょっと厳しい。でも、100万円以上売れる見込みがあるなら、その家賃でも十分成り立つ可能性がある。
ここで必要になるのが、ざっくりでもいいので事業計画。
- 売上の見込み
- 原価や人件費、その他経費
- その中で支払える家賃の上限
これを最初に考えておくことで、「いい物件に出会えたけど、冷静になったらちょっと背伸びしすぎやったかも」という後悔が減ります。
京都の家賃、これからどうなる?
これはあくまで僕の肌感ですが、今後も家賃が一気に下がることは、あまりなさそうです。
なぜかというと、
- 観光需要の回復で中心部の人気が再燃している
- 飲食・物販の出店希望者は増えている
- 空き物件はあるけど、条件に合うものは限られている
こうした状況が続く中で、条件のいい物件は取り合いになる傾向も。だからこそ、自分の事業にとっての“適正”を見極める目が大事になってきます。
そして、家賃交渉や条件整理も含めて、テナント選びに付き添ってくれるパートナーを見つけておくと、動きやすくなると思います。
まとめ:ざっくり決められた“家賃”を、どう読み解くか
14年やってきて思うのは、家賃は数式で決まるもんちゃうということ。
人の想いとタイミング、ちょっとした関係性で動く世界でもあります。
だからこそ、表面的な相場だけで判断せず、ちょっと踏み込んでみること。物件を探すときは、数字だけじゃなく「この条件、実現できそうか?」という視点を持つこと。
そして、時には掛け合ってみること。
その一つひとつが、「ええ物件」と出会う確率を高めてくれるんちゃうかなと思っています。
わからんことがあれば、いつでも聞いてくださいね。
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