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(後半)【京都・店舗開業】図面だけでは分からない!プロが現場で見る「7つのチェックポイント」

こんにちは、コトスタイルの池田です。
前回の記事では、京都の居抜き物件に潜む「メリット」と「落とし穴」について、少し厳しい現実をお話ししました。「安く見える物件ほど、裏にリスクが隠れているかもしれない」。その視点は持てましたか?

「じゃあ、具体的にどこを見ればいいの?」「素人の私たちが、プロと同じ目線を持つにはどうすればいい?」


そんな声が聞こえてきそうです。今回はその後編として、実際に私が現場でお客様と一緒に物件を見るとき、「具体的にどこを見て、何を考えているのか」を7つのチェックポイントにまとめて公開します。
正直、これは企業秘密にしたいレベルの話です(笑)。でも、コトスタイルは「物件選び=設計の一部」だと考えています。入り口で間違えると、どんなに良いデザインをしてもリカバリーできません。失敗してほしくないので、全部話しますね。

プロ直伝!居抜き物件で見るべき7つのチェックポイント

物件を見るとき、「きれいだな」「雰囲気いいな」という第一印象や、図面に書かれた数字だけで決めてはいけません。以下の7つを判断軸にしてください。

①設備の「年式」と「ピーク時の稼働能力」

ここ、一番誤解が多いポイントです。「エアコンも冷蔵庫も付いているからお得」ではなく、「戦力としてあと何年使えるか」を見てください。
現場でよくある失敗は、内見の時に「電源が入るか」しか確認しないこと。でも飲食店で大事なのは「動くか」ではなく、「満席のピーク時に安定して能力が出るか」です。 特に京都の夏は盆地特有の蒸し暑さがあります。年式の古いエアコンや冷蔵庫だと、繁忙期に負荷がかかりすぎて冷えなくなり、最悪の場合、営業中に止まります。オープン直後に故障して買い替え…なんてことになったら、資金計画が崩壊します。必ず年式とメンテナンス履歴を確認してください。

②給排水・ガス・電気の「見えない容量」

特に京都の町家や古い雑居ビルは要注意です。見た目は素敵でも、血管(配管)が細くて血液(ガスや水)が流れない、ということがよくあります。 「揚げ物をメインにしたいのに、ガス管が細くてフライヤーが増やせない」「電気容量が足りなくて、エアコンとドライヤーを同時に使うとブレーカーが落ちる」「排水の勾配が取れなくて水が流れない」。 これらは内装工事でカバーしようとすると莫大な費用がかかりますし、そもそも「建物の限界」で物理的に無理な場合もあります。「工事でなんとかなる」と思い込まず、インフラの容量はシビアに見てください。

③用途地域・用途制限と「近隣ルール」

「ここで飲食店やりたい!」と思っても、実は「重飲食(焼肉や中華など煙・油が出る業態)不可」「深夜営業不可」のエリアだった、ということがあります。 京都は景観や住環境を守るためのルールが非常に厳しい街です。不動産情報の表記だけを鵜呑みにせず、必ず行政や管理規約の裏付けを取りましょう。 また、看板が出せるかどうかも重要です。京都の景観条例で派手な看板が出せない、そもそもビル側が看板NGを出している場合、集客設計そのものが崩れてしまいます。

④家賃と売上の「シビアなバランス」

京都の好立地は当然、家賃が高いです。現場でよく見る失敗は、「いい場所だから売れるはず」という楽観視で固定費を上げてしまうこと。 でも、商売には必ず波があります。京都は観光シーズンとオフシーズンの差が激しい街です。閑散期でも家賃は待ってくれません。「売上が一番悪い月でも払えるか?」。 固定費と予想売上のバランスは、夢を見ずに現実的に計算してください。広告費も人件費も削って家賃を払うだけの生活にならないように。

⑤居抜き譲渡金の「妥当性」

前のオーナーは「高く売りたい」、あなたは「安く買いたい」。ここには必ず感情が乗っかります。 「この内装に500万かけたから、200万で買ってほしい」と言われても、あなたにとって不要な設備や、好みに合わない内装なら価値はゼロです。 京都は出店意欲が高い人が多いので、焦って契約しがちですが、実質的に「古い設備を高く買わされている」状態になっていないか? 冷静に「自分にとっての価値」を見極める必要があります。

⑥管理会社・オーナーとの「相性」

長くお店を続けるなら、これめちゃくちゃ大事です。契約条件という「文字」だけでなく、日常のやり取りの「温度感」を見てください。 「工事の許可がなかなか降りない」「水漏れ対応が遅い」「細かいルールで営業を縛ってくる」。オーナーさんや管理会社との相性が悪いと、日々の営業にものすごいストレスがかかります。契約前のやり取りで「ん?なんか話しにくいな」という違和感を感じたら、その直感は信じたほうがいいです。

⑦将来の「撤退コスト」

これから「乾坤一擲(けんこんいってき)」の大勝負を始めようという時に、終わる話をするのは気が引けます。でも、勝負をするからこそ、最悪のケース(セーフティネット)も想定しておくのがプロの仕事です。 前編でも触れましたが、「居抜きで入ったから、出るときも居抜きでいい」とは限りません。契約書に「退去時はスケルトン戻し」と書かれていたら、閉店時に数百万単位の解体費がかかります。 最後に大きな借金が残らないよう、出口戦略も含めて契約書を確認してください。

よくある質問(Q&A)

最後に、現場でお客様からよくいただく質問に、私なりの視点でお答えします。

Q:結局、居抜きとスケルトン、どっちがいいの?
A:あなたの「フェーズ(段階)」と「目的」によります。
これはどちらが正解という話ではありません。 初めての出店で資金を抑えたい、まずは小さくテストして経験を積みたいなら「居抜き」はスピードもあって有効な選択肢です。逆に、独自のブランド世界観をしっかり作り込みたい、長く続ける覚悟があるなら、自由度の高い「スケルトン」の方が、結果的に満足度が高く安定的です。 大事なのは「物件にお金を合わせる」のではなく、「自分の事業フェーズに物件を合わせる」ことです。


Q:ネット検索だけで探しても大丈夫?
A:入り口はOKですが、出口(決定)にはなりません。
ネットの情報はあくまで「表面的なスペック」です。現場に行かないと分からない「匂い」「音」「日当たり」「近隣の雰囲気」「ゴミ捨て場への動線」…。これらはネットには載っていません。 ネットで見つけて「良さそう」と思っても、現場に行ったら隣のお店の換気扇の匂いが強烈だった、なんてことはザラにあります。ネットは候補を見つける道具、決定打は必ず現場です。


Q:予算が少なくてもなんとかなりますか?
A:なります。
でも「選び方」の戦略を変える必要があります。 予算が少ない状態で一番危ないのは、無理に広い場所や一等地を狙いに行くことです。家賃が重くなり、改装費も削れず、結局オープン後に詰まります。 予算が少ないなら、設備の状態が良い小箱を選ぶ、少し駅から離れるなど、「どこにお金をかけて、どこを削るか」のメリハリをつければ十分に勝負できます。

まとめ:物件選びは「設計」の一部です

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
私たちが物件選びの段階から関わらせていただく理由は、「物件選び=設計の一部」だと考えているからです。 どんなに良い内装デザインを考えても、物件自体の条件が悪ければ(例えば排気がうまくいかない、エアコンが効かないなど)、お店としてのポテンシャルは発揮できません。

「自分ひとりでは判断しきれない…」 そう思ったら、ぜひ私たちに声をかけてください。まだ物件が決まっていない段階での相談こそ、一番歓迎です。 私は、無理に契約を勧めることは絶対にしません。「この物件はリスクが高いから、やめたほうがいい」とはっきりお伝えすることも、プロとしての誠意だと思っています。皆さんが京都で、自分らしい素敵なお店を作れるよう、心から応援しています。 それでは、また。