1. HOME
  2. NEWS
  3. オミセツクルコラムテナント仲介店舗開業ガイド
  4. (前半)【京都・店舗開業】「居抜き物件=絶対お得」は半分間違い?現場300件を見てきたプロが教える、物件探しのリアル

(前半)【京都・店舗開業】「居抜き物件=絶対お得」は半分間違い?現場300件を見てきたプロが教える、物件探しのリアル

こんにちは、コトスタイルの池田です。最近、現場に向かう道中で京都の街並みを歩いていると、新しいお店が次々とオープンしているのを感じます。古い町家を活かしたカフェや、路地裏の隠れ家のようなビストロ。「めっちゃいいやん」と心の中で呟きながらも、職業柄どうしても「この建物の設備、大丈夫かな?」「排気ダクトの回し方、苦労したやろうな」と、壁の向こう側のドラマに思いを馳せてしまいます。

さて、店舗探しをしているお客様から一番よく聞かれるのが、

「やっぱり居抜き物件って、お得なんですよね?」

という質問です。

結論から言いますね。 その考え、「半分は正解で、半分は危険」です。
「安く済むはずが、結局高くついた」なんてことにならないために。今回は、京都で店舗を開業したいと考えているあなたに向けて、居抜き物件のリアルな「メリット」と、プロだけが知っている「落とし穴」について、私の経験を交えてじっくりお話しします。
少し長くなりますが、失敗しないための「転ばぬ先の杖」として読んでいただければと思います。今回はまず「前半」として、居抜きの基本構造と、実際にあった失敗事例について深掘りしていきます。

そもそも「居抜き」と「スケルトン」は何が違う?

まずは前提を揃えておきましょう。言葉の定義があやふやだと、判断基準もブレてしまいますからね。

居抜き(いぬき)
前の店が使っていた内装や設備(厨房機器、カウンター、エアコン、トイレなど)が残っている状態。「あるものを活かす」選択です。

スケルトン
内装も設備も基本的にすべて撤去され、コンクリートや躯体(建物の骨組み)が見える状態。「ゼロから組む」選択です。
「あるものを活かすなら、安く済むに決まってるやん」と思いますよね。確かに、うまくハマれば初期費用も工期もグッと圧縮できます。でも、ここが京都の物件の難しいところ。「残っている=使える」とは限らないのが、現場のリアルなんです。

なぜ京都では「居抜き物件」がこれほど人気なのか?

もちろん、居抜きには大きなメリットがあります。京都でこれだけ居抜き物件が流通し、人気があるのには、明確な3つの理由があります。

1.初期費用を抑えられる(可能性がある)

京都は観光需要が非常に大きく、飲食店の入れ替わりも激しいエリアです。特に繁華街や駅近のエリアでは、前の借り手が「短期で勝負できる内装」を作っている場合が多いんです。 もし、その内装が自分のやりたいお店のイメージと合致すれば、壁や床を作る工事費、厨房機器を買う費用といった「開業資金の山」を低くすることができます。これは大きな魅力ですよね。

2.開業までのスピードが圧倒的に早い

京都には、春の桜、夏の祇園祭、秋の紅葉、そして年末年始と、明確な「稼ぎ時」の波があります。「この時期までに絶対にオープンしたい!」というゴールがある場合、ゼロから作るスケルトンよりも、工期が読める居抜きは非常に有利です。 特に小規模なお店なら、オペレーションを早く固めて回し始めたほうが、商売としての学習スピードも上がります。「スピードは正義」という考え方も、間違いなく一つの正解です。

3.人気エリアの「好立地」に出会いやすい

実はこれが一番のポイントかもしれません。京都の人気エリアは、そもそも空きが出にくいんです。 空きが出るとしたら、それは「お店が入れ替わる」タイミング、つまり居抜きであるケースが多い。路面の小箱などは、情報が出た瞬間に埋まることもあります。つまり、居抜きを選ぶことは、「立地を取りに行く戦略」でもあるんです。

現場で見た「居抜きの失敗」リアルな3つの事例

「めっちゃいいことだらけやん」と思いました? でも、ここからが本題です。私がこれまで300件以上のお店づくりに関わってきて、実際に見てきた「失敗事例」をお伝えします。 これを読んでおくだけで、大怪我を防げるはずです。

失敗例①「設備は動くけど、使い物にならない」

「厨房機器もエアコンも残ってるし、ラッキー!」と思って契約したけれど、いざオープンしたら夏場に地獄を見た…というケースです。
実際にあった相談ですが、飲食から飲食への居抜きで、「厨房はそのまま使える」という前提で話が進んでいました。内見のときは冷蔵庫も製氷機も電源が入ったし、動いているように見えた。 しかし、いざ営業を始めると、製氷機が氷を作らない、冷蔵庫の温度が下がらないといった「地味な不調」が連発したんです。
内見のときは「電源が入るか(動くか)」しか確認できないことが多いんですが、飲食店で大事なのは「ピーク時に安定して能力が出るか」です。特に京都の夏の暑さは盆地特有で尋常じゃありません。エアコンや冷蔵設備が弱いと、満席の店内でエアコンが効かない、食材が冷えないという致命的な状況になります。

失敗例②「レイアウトが微妙に合わない」

例えば、居酒屋からカフェへの業態変更。「雰囲気いいし、そのまま使おう」と思っても、前の店は「前の店の稼ぎ方」に特化した作りになっています。
居酒屋の厨房は「火力と提供スピード」を重視していますが、カフェは「ドリンクを作る動線」や「魅せる要素」が重要です。 結果として、カフェなのに厨房が広すぎて客席数が取れない、洗い場の動線が悪くてスタッフがぶつかる…。こういう「1mのズレ」が積み重なると、日々の営業でボディブローのようにストレスが効いてきます。 結局、壁を壊して作り直すことになり、コストが跳ね上がってしまった…というのもよくある話です。

失敗例③「退去時の原状回復トラブル」

これ、京都では本当に気をつけてほしいポイントです。「入るときは居抜きでいいよ」と言われたから、「出るときもそのままでいい」と思い込んでしまう。 でも契約書をよーく見ると、「退去時はスケルトン戻し」となっているケースが非常に多いんです。
「前の人は残していったのに、なんで自分はダメなんですか?」と聞いても、契約書にハンコを押していれば対抗できません。後から何百万円もの解体・撤去費用を請求されて揉めることのないよう、入り口の段階で「出口の条件」を確認しておくことが命です。

前半のまとめ
ここまで読んで、「うわ、居抜きって怖いな…」と不安にさせてしまったかもしれません。 私も小学生のとき、自分のエラーで試合に負けてチームに迷惑をかけたことがあり、あの時の「やってしまった」という感覚は今でも忘れられません。だからこそ、これから大きな勝負をする皆さんには、同じような思いをしてほしくないんです。
でも、安心してください。「どこに落とし穴があるか」を知っていれば、対策は打てます。

次回の【後半】では、いよいよ具体的に「物件内見で必ずチェックすべき7つのポイント」をお伝えします。これをリストにして持っていくだけで、物件選びの精度が劇的に変わりますよ。
私も普段、風呂上がりのストレッチで体を整えてから翌日に備えていますが、物件探しも事前の「準備体操」が大切です。次回もしっかり整えていきましょう。

(後半へ続く)