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フランソア喫茶室に見る、京都の店舗デザインとテナントの選択肢

禁煙化に見る空間の進化と、これからのテナントづくり

歴史ある喫茶室が選んだ変化

先日、京都新聞に掲載されていた記事をきっかけに、久しぶりに「フランソア喫茶室」さんを訪ねてみました。
四条河原町すぐの便利な立地にあり、1934年創業という歴史ある老舗喫茶店。美しい内装とゆったりとした時間の流れで知られ、京都を代表する喫茶文化の象徴的存在です。

そんなフランソア喫茶室が、2022年10月より全面禁煙になったというニュース。かつてタバコのにおいが苦手で足が遠のいていた私にとっては、まさにうれしい知らせでした。空間づくりにおいて、どのような判断がなされたのか。さっそく店内に足を運んでみることにしました。

クラシカルで上質な空間デザイン

「フランソア喫茶室」さんの店内は、まるで豪華客船のホールのよう。曲線的な装飾、ドーム状の天井、落ち着いた色合いの壁、重厚感ある家具。すべてが、空間に品格をもたらしています。

こうした空間づくりは、まさに京都ならではの店舗デザイン。観光客にとっては「京都らしさ」を感じられる場であり、地元の人にとっては特別感と親しみの共存した居場所となっています。長年愛され続けているのも納得です。

今回の禁煙化で、その上質な空気感がより際立ちました。煙のない空間は視界がクリアになり、細部に施された意匠や照明の美しさも再確認できます。

テナントとしての選択と役割

飲食店や喫茶店を運営されている方にとって、「禁煙か喫煙か」は重要なテーマ。客層や運営方針に直結するため、悩ましい判断でもあります。

「フランソア喫茶室」さんが禁煙化を選んだ背景には、健康志向の高まりや観光ニーズへの対応があったのでしょう。実際、私のように「禁煙化したなら行ってみたい」と考える人も少なくないはずです。

また、テナントとしての価値も高まります。店舗が入る物件にとって、安心して滞在できる空間づくりは重要な魅力の一つ。禁煙化は、時代に沿った選択であり、テナント運営の方向性を象徴する出来事でもありました。

変化する喫茶店と京都の街並み

最近では、知恩院古門前近くの「やまもと喫茶」さんでも、時間帯分煙や週末禁煙といった取り組みが見られます。お店ごとの個性を活かしながらも、時代の流れに合わせた運営を模索されている様子がうかがえます。

昭和の喫茶文化を受け継ぎながらも、新たな世代やニーズに応えるかたちで変化していく——その姿勢こそが、今の京都の店舗に求められる柔軟性ではないでしょうか。

空間から考える店舗ブランディング

店舗デザインとは、単に内装の美しさや機能性だけでなく、店舗のスタンスや価値観を伝えるメッセージでもあります。

「フランソア喫茶室」さんの全面禁煙化は、ただのルール変更ではなく、「ここで過ごす時間の質を大切にしたい」という強い意志の表れ。これから店舗をつくる方、テナントを探される方にとっても、非常に示唆に富んだ事例です。

私たちコトスタイルも、そうした想いのこもったお店づくりを、空間から支えていきたいと改めて感じました。