

― KYOUEN解体から見える、京都中心部テナント活用のこれから ―
三条京阪駅からすぐ、京都の中心エリアに位置していた低層商業施設「KYOUEN(キョウエン)」をご存じの方も多いのではないでしょうか。
飲食店や物販店が集まり、観光客にも地元民にも親しまれたあの施設が、2023年5月末をもって営業終了。その後、あっという間に建物は解体され、更地に――。
「この一等地が、次にどう活用されるのか?」
店舗の出店や設計に関わる私たちにとっても、興味を惹かれる案件でした。
そして、現在――。
KYOUEN跡地に新しく登場したのは、なんとコインパーキングでした。
意外? 妥当? 京都中心部の一等地に広がる駐車場
京阪本線・地下鉄東西線が交差する交通の要所。
さらに、三条大橋のたもとという抜群の立地。
観光・通勤・買い物、すべての導線上にあるこの場所に、まさかの駐車場。
一見、地味な使い方に見えるかもしれません。
けれど、観光シーズンになると京都市内では駐車場不足が深刻になり、特にマイカー利用の観光客にとっては“ありがたい穴場”になりそうです。
一方で、京都で出店を検討されている方やテナント誘致に関わる事業者にとっては、「もったいない」「もっと有効活用の余地があるのでは」と感じる声も少なくありません。
KYOUENとは? テナント誘致・デザインの視点から見る再開発の課題
そもそもKYOUENは、京都らしさと現代性を両立させた商業施設として、多くのテナントが入居していました。
ただし、施設としての建物はやや古く、導線や構造の面で現代的なテナントニーズに合わない部分もあったかもしれません。
飲食店にとっては、排水や煙対策の制約が大きく、居抜きでの入居もしづらい。
物販店舗にとっては、ファサードや視認性の面で課題がありました。
そうした背景から、営業終了と同時に建物が取り壊され、まずは更地に。そのまま暫定的にコインパーキングとして活用されているのが現在の状況です。
とはいえ、これは“終わり”ではなく、“はじまり”かもしれません。
テナント開発はこれから? 京都で求められる店舗デザインとは
このKYOUEN跡地が再び商業施設として動き出す可能性は、十分にあります。
近隣では、元「いろは旅館」跡地にホテル建設が進行中。京都河原町や祇園方面でも、再開発の波が次々に起こっています。
この流れの中で、もし将来ふたたびテナント施設が誕生することになれば――
ただテナントを詰め込むのではなく、「京都らしさ」と「現代的な使いやすさ」の両立が求められるでしょう。
たとえば、
- 京町家の風情を活かしながらも空調や動線が整備された設計
- 地元客・観光客の両方を意識したファサードデザイン
- 飲食・物販・体験の複合型ゾーニング など
地域の文脈に根ざし、テナントにとってもお客様にとっても魅力的な“場”を生むための、戦略的な店舗デザインが求められます。
私たちができること。京都の空きテナントと共に、未来を描く
私たちコトスタイルでは、京都に特化したテナント仲介と店舗デザイン・施工をワンストップで行っています。
空きテナントをただ埋めるのではなく、「その場に合ったお店」「その人に合った空間」を一緒につくることが大切だと考えています。
KYOUEN跡のような広い敷地はもちろん、小さな空き家や路地裏の物件でも、視点を変えれば面白い未来が描けるはずです。
再開発が進むエリアの動きをウォッチしながら、京都という街とどう付き合うか。
これからお店を始める方も、テナント物件を探している方も、ぜひ一緒に「京都らしい店舗の未来」を考えていければと思います。