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(4/6)「テナント 契約 注意点」を見落とすな!プロが解説する契約トラブルを防ぐチェックリスト

原状回復トラブルは「工事費用」とセットで考える|“思ってたより高い”の正体

店舗を退去する時、必ず発生するのが「原状回復」という言葉。でもこの言葉、聞き慣れているようで、実はとてもクセ者です。そしてもっと厄介なのは、“原状回復にかかる費用”が、想像よりはるかに高くつくということ。これは、これまで関わった多くの開業者の中でも「最後に一番驚いた項目」として語られる常連です。

【実例】「スケルトン返却」って言われたけど、どこまで壊すの?

京都・四条通りのとある物販店。オーナーCさんは5年の営業を終え、退去することに。ところが貸主側からは「スケルトンに戻してね」と一言。

Cさん:「え、じゃあ棚とかカウンター外すだけですよね?」
管理会社:「いや、床も天井も、壁の下地も全部取って、コンクリの状態までです」
Cさん:「え、それって解体費いくらするんですか…?」

結果、原状回復費だけで150万円超。
しかも契約時には「原状回復については協議のうえ決定」と書かれていただけ。つまり、どこまで戻すかの明確な線引きがなかったんです。

原状回復の範囲は、契約書にどう書かれているかで決まる

原状回復でのトラブルは、そもそも契約時の「曖昧な表現」から始まっています。

よくある表現:「原状に回復して明け渡すこと」

ではその「原状」って、いつの状態? 何を含む?ここがはっきりしていないと、貸主と借主で認識がズレてしまう。特に店舗物件の場合、住宅とは違って“スケルトン戻し”が基本とされることも少なくありません。その場合の“原状”とは、「コンクリート打ちっぱなし状態」に戻すという意味。

【注意点】工事費用は「退去時」だけでなく「入居時」にも影響する

この問題、実は入居時から始まっています。
なぜなら、「スケルトン物件に内装工事をして」「退去時はスケルトンに戻す」ということは、内装にかけた工事費用を、最後に自分の手で壊すことになるという構造なんです。これが「店舗 工事 トラブル」としてよくある悩みのひとつ。

「せっかく300万円かけて造った内装を、退去時に150万円かけて壊す

これは事実としてよくあります。
だからこそ、内装工事の費用計画は、原状回復まで含めて立てる必要があるんです。

【京都ならでは】景観条例と原状回復の“二重負担”も

さらに京都特有の事情として、景観条例の存在があります。

  • 看板のサイズや設置場所に制限がある
  • 外壁の色にもルールがある
  • 地域によっては、事前の届け出が必要

つまり、入居時には“京都らしい外観”に合わせた工事が求められ、退去時には“元の姿”に戻すための工事が必要になる。この二重の手間と費用を想定せずに契約すると、「あれ、なんでこんなにかかるの?」となるわけです。

【費用相場】原状回復にいくらかかるのか?

もちろん広さや立地、元の状態によって変わりますが、以下は目安です。

この費用、退去の直前に言われると心の準備ができていないことが多い。だからこそ、「契約前に相場を聞いておく」「施工会社に見積もりをとっておく」が大切なんです。

【予防策】最初の契約で「原状回復範囲」を明確にしておく

トラブルを防ぐ最大の手段は、やはり契約時の確認。

  • どこまで戻せば「原状」と認められるのか
  • その費用負担は誰が持つのか
  • スケルトン物件なら、再スケルトンの工事内容は明示されているか

とくに「協議のうえ決定」というあいまいな表現は、避ける or 具体化しておくのが安全です。また、工事を担当する施工会社にも、「原状回復費用を見越した設計にしてもらう」ことで、退去時の解体コストを抑えることができます。

【まとめ】原状回復と工事費用は“セット”で見るのが正解

「原状回復」って、退去の話だけじゃないんです。最初に店舗をつくるときから、すでにその話は始まっている。今回のblogで伝えたかったのは、まさにそのこと。

  • 「店舗 工事 トラブル」を避けるには、“壊すときのこと”も考えながら設計すること
  • 「原状回復トラブル」を防ぐには、契約書にしっかり目を通すこと

そして、「聞いてなかった」「こんな費用になるなんて思ってなかった」という声を、一人でも減らしたいと心から思っています。

次の章では、もっと実務的に、「契約書で必ずチェックしておきたいポイント」をリストでご紹介します。チェックリスト形式で、今まさに契約を検討している方にも役立つ内容です。