

03.解約条件と違約金ルールは曖昧なままにしない|“退去時こそトラブルの温床”
契約書って、どうしても「始まり」にばかり意識がいきがちです。でも実際にトラブルになるのは、「終わり方」だったりする。特に注意すべきは、「解約の条件」と「違約金」のルール。これが曖昧なままだと、思っていたよりずっと大きな損失が出ることになります。
【失敗例】「3ヶ月前に解約すれば大丈夫」と思っていたら…

たとえば京都・烏丸エリアで美容サロンを経営していたBさん。物件契約時に、「解約時は3ヶ月前に通告すればOK」と聞いていたつもりだったんです。ところが、実際の契約書にはこう書かれていました。
「契約期間満了前の中途解約の場合は、残存期間分の賃料相当額を違約金として支払うこと」
つまり、“3ヶ月前通告”はあくまで満了時の話で、途中で解約するなら全額支払いという内容。結局、Bさんは予定より早く店を閉めることになり、残りの賃料6ヶ月分に相当する約90万円を違約金として支払うことに…。
本人曰く、「ちゃんと説明されたと思ってたのに…」と。でも書面がすべての世界では、“思ってた”では通用しないのが現実なんですよね。
解約条件は「何ヶ月前予告か」だけじゃない
多くの契約書には、「〇ヶ月前に通知することで解約可」といった条文が入っています。
でも、そこで気をつけておきたいのは以下のような点:

「テナント 契約 注意点」──関西ならではの文化にも注意
京都を含む関西圏では、いわゆる「商慣習」も独特です。
たとえば…
- 解約時には“敷引き”(保証金から一定額を控除する慣習)があったり
- 契約期間中の解約は“損害賠償”として処理されることもある
これらは、契約書にしっかりと明記されていれば問題ありません。でも、あいまいなまま「まあ慣例なんで」と済まされると、トラブルの元になるんです。実際、他府県から京都に出店した事業者が「こんなルール、初めて聞いた」と驚くケースも少なくありません。
違約金トラブルを防ぐには、契約前に“退去時”を想定する

一番の対策は、「最初から終わりのことを考えておく」こと。
出店を決めたばかりのタイミングで“撤退”なんて考えたくない気持ちは、痛いほどわかります。でも、現実問題として、事業は100%成功するとは限らない。不測の事態(家族の事情、売上不振、立地の問題)が起こったとき、しっかり出口戦略を描けているかどうかが、損失の大小を決めます。
【実務アドバイス】交渉の余地がある場合も
契約交渉の際、「この違約金条項は厳しすぎる」と感じたら、以下のような対案を出すこともできます:
- 解約時は「保証金全額返還+1ヶ月分の違約金」で済むよう調整
- 「解約から3ヶ月以内に新しい借主が見つかれば、違約金なし」にする
- 「居抜き譲渡が成立すれば、違約金免除」にする
こういった条件交渉は、交渉時にしかできません。サインしてからでは遅いんです。
【まとめ】“契約の出口”が見えるかどうかで安心感が変わる
テナント契約における「店舗 開業 失敗 例」の多くは、この「解約条件の見落とし」に起因しています。
“自分に都合の良い”解釈で進めてしまったがゆえの後悔──これを防ぐためにも、契約時は以下の姿勢が大切です。
- 「辞めるとき」のシミュレーションをしてみる
- 「この内容、ちゃんと理解できてるか?」と自問する
- 必要なら、専門家にチェックを依頼する
今回紹介した失敗例も、「もうちょっと契約をちゃんと見ていれば…」で防げたかもしれません。次の章では、もうひとつの大きなトラブルの火種──【原状回復】について掘り下げます。





