職人さんとデザイナーが形にする現場の一日

昨日は亀甲屋町の現場を見たあと、橋弁慶町の現場にも足を運びました。こちらでは軽天工事と床組みが同時進行中。現場に入った瞬間、木と鉄が交わる音が響き、“お店ができていく途中”という独特の熱を感じました。

大工さんの段取りと、職人の勘

手前では大工さんが床の下地を組んでいました。インパクトの音と木の香り、寸法を確かめる真剣なまなざし。「現場にも来るんやねえ、珍しい」と笑われながらも、どこかうれしそうに迎えてくれたのが印象的でした。

話しながら作業を見ていると、長年の経験が体に染みついているのが分かります。リズムがあって、無駄がなくて、でもどこか穏やか。信頼の上に成り立つ現場の空気でした。

気になっていた厨房の搬入経路も、「そこはしっかり押さえてますよ」と笑顔で即答。実は僕、昔に搬入経路を確認せず壁を立ててしまい、機材が入らずやり直したことがあるんです。こういう失敗って、ほんとに忘れない。

でも、あの経験があるから今の自分がある。社員にもよく伝えていますが、「失敗を恐れず、学びに変えること」が一番大事。失敗を許容できる環境こそ、いい現場をつくると思っています。

床組みを進める大工さん

軽天屋さんの手際と、女性職人さんの姿

奥では軽天屋さんが天井と壁の骨組みを組み上げていました。レーザーの緑のラインが空間を走り、一本ずつ鉄骨が立ち上がっていく。

その中に、女性の軽天職人さんの姿も。ボルトを切る音の中で、正確にフレームを合わせていく姿は圧巻でした。

軽天の現場で女性を見たのは初めてでしたが、迷いのない動きと集中力に、思わず「かっこいいな」と声が出そうになりました。

ものづくりの現場も時代とともに変わっています。誰がつくるかより、どうつくるか。コトスタイルも、そんな“関わり方の多様さ”を大切にしていきたいです。

軽天材をカットする機械と鉄骨材

現場全体の作業風景

ムラカミくんの現場調整

現場にはデザイナーのムラカミくんも立ち会っていました。職人さんたちと工程を確認しながら、素材や納まりを一つひとつ打ち合わせ。

「この通路、狭くない?」と僕が聞くと、
「奥に向かって少し閉まっていく感じを出したくて。
空間の変化を感じてもらえると思います」とムラカミくん。

図面だけでは見えない“居心地のリズム”を、現場で確かめながらデザインしていく。職人さんとしっかり信頼関係を築いている様子に、若手ながら頼もしさを感じました。

図面の裏にある、日々の積み重ね

壁には、図面や工程表がずらりと貼られていました。一見同じように見えるけれど、一枚一枚に、誰かの判断と工夫が詰まっています。

図面の線が、現場では一本ずつ形になっていく。その過程を見ていると、“チームでつくる”ということの意味をあらためて感じます。

貼り出された図面と工程表

年内完成へ向けて

橋弁慶町の現場は、年内完成を目標に進行中。来週には下地工事が一段落し、いよいよ内装の仕上げフェーズに入ります。

短い時間の中でも、大工さん、軽天屋さん、ムラカミくんの手が確実に空間を前へ進めているのを感じました。完成が今から本当に楽しみです。

軽天の下地が立ち上がった内部

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