

物件選びのあとが本番。家主との信頼関係、工事期間中の家賃、契約形態、原状回復──実際に出店を経験したデザイナーが語る、店舗開業前に“交渉すべきこと”のすべて。
この記事でわかること
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工事期間中の家賃交渉のコツ
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普通借家と定期借家、どちらが良い?
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原状回復義務の落とし穴と実例
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工事の自由度は契約前がカギ
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契約前に気をつけたい“人と人”の関係
工事期間の家賃は「売上ゼロ」だからこそ交渉の余地あり
テナント契約では、契約=賃料発生日というのが一般的。しかし、そこからすぐに売上が立つわけではありません。
内装工事には数週間〜数ヶ月が必要で、その間は売上ゼロ。だからこそ、工事期間の家賃については交渉の余地があると考えてください。
例えば、以下のような落としどころがあります:
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フリーレント(家賃無料期間)1〜2ヶ月
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工事期間中は家賃半額
ここで大事なのは、家主さんも“人”だということ。
実際、家主の多くは「できるだけ長く事業を続けてもらいたい」と考えています。まだ売上が立たない時期にお金を請求するのは、本音では気が引けるという方も多い。
しっかりとした事業計画と熱意を伝えることで、「応援したい」と思ってくださることも。気持ちも添えて、遠慮せず相談してみましょう。
契約形態は“期間”より“関係性”を確認
テナント契約には以下の2種類があります:
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普通借家契約:契約期間満了後も更新されやすい。借主の権利が強い。
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定期借家契約:契約期間満了で終了。再契約には双方の合意が必要。
一見すると「普通借家の方が安心」と思われがちですが、実は関係性の方が重要です。
普通借家でもトラブルになることはありますし、定期借家でも関係が良好であれば再契約の相談は可能です。
つまり、
契約内容よりも“誰と契約するか”が大事
事業パートナーのような意識で、契約相手の人柄や姿勢にも注目しましょう。
原状回復は「出口の設計」。出店者の覚悟が問われる部分
これは僕自身の体験から。
以前運営していた焼肉店「枯らし熟成焼肉つつい」の閉店時、原状回復(スケルトン戻し)が本当に大変でした。
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解体費用の見積もり
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次の借主が決まらない不安
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契約で縛られた中での精神的プレッシャー
結果的に、次のテナントが決まり、スケルトン戻しを免れたときは、心からホッとしました。
この経験から得た教訓:
原状回復義務は“始める前に”しっかり確認・交渉すること
契約書の文言だけでなく、「次の借主が見つかったらどうするか」など柔軟な取り決めができると理想です。
工事の範囲も契約前に確認を。後からでは遅い!
実は工事の範囲も、事前に交渉可能なポイントです。
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共用部の看板設置
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外部照明の追加
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エントランスの仕上げ変更 など
契約前なら調整可能ですが、契約後は変更が難しくなるケースが多いです。
そこでおすすめなのが、
契約前に施工業者と一緒に現地確認を行うこと
コトスタイルでは、設計・施工スタッフが物件紹介段階で現地確認をするのが基本。その一手間が、あとあと大きな安心につながります。
まとめ|契約交渉は“対話”。焦らず、丁寧に
テナント契約における交渉は、「戦い」ではなく「対話」。
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家賃やフリーレント
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契約形態
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原状回復の条件
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工事の範囲
こうした要素は、契約前であれば交渉できるチャンスがあります。
重要なのは、お互いの事情を理解し合いながら、“気持ちよくスタートを切るための合意点”を見つけること。
そのためには、信頼できる専門家に早めに相談しておくのがベストです。
コトスタイルは、物件探しから工事、開業までをワンストップで支援しています。
「ここまで相談してもいいのかな?」と思うことほど、ぜひ聞いてくださいね。あなたの出店が、いいスタートを切れるよう応援しています。