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お店づくりの“体温”は数字に宿る——セミナー参加で得た5つの財務ポイント

数字って、少し冷たく感じるかもしれません。
でも実は、数字こそがお店の体温なんです。
どう動いたか、どんな日々だったか――その結果が数字として表れます。

先週末に開催したセミナーでは、開業やお店づくりを考えている方に向けて、特別なノウハウの前に知っておきたい「大切な基本」を公認会計士の林先生をゲストにお招きしてお話していただきました。
ここでは、その中から特に反響の大きかった5つをまとめています。

もし「もっと詳しく聞いてみたい」と思われた方は、事業計画書を持って個別相談にお越しください。
一緒に数字を見ながら考えましょう。

1) 数字は“順番”で見るとわかりやすい

お店の健康診断をするときは、毎月同じ順番で見ることが大切です。

見る順番の基本はこの5つ。

  1. 売上(どれくらい売れたか)
  2. 原価(原価率)(仕入れにかかったお金)
  3. 人件費(働く人の給料)
  4. 家賃(お店を借りる費用)
  5. 販促費(チラシやSNSなどの宣伝)

中でも人件費と家賃は、お店の大きな出費の柱になります。
この2つをしっかり把握しておくと、急な変化にも落ち着いて対応できます。

用語の豆知識
・Lコスト:人件費のこと。
・FLコスト:食材費(Food)+人件費(Labor)。
飲食店では、この数字を毎月チェックすることが経営の第一歩です。


2) 原価率は“メニューの組み合わせ”で決まる

原価率は、後から直そうとすると大変です。
だからこそ、お店を始める前にメニューの組み合わせで調整しておきましょう。

たとえば、原価が高いメニューと低いメニューをうまく組み合わせると、全体のバランスが取れます。
セミナーでは、実際に焼肉店を運営していたときの話もしました。

その中で使っていたのが、Lコスト/FLコストのモニタリングクロスABC分析(「よく売れて」「利益が出る」メニューを見つける方法)です。

7年間の経営でこうした仕組みを積み重ねてきたことで、今では出店後のフォローアップもできるようになりました。
ご希望があれば、別途費用にはなりますが、数字の整え方を一緒に考えるお手伝いもしています。

3) 値下げは最後の手段。数字で考えると冷静になれる

「少し安くしたらお客さんが増えるかも」――
そう思うこと、ありますよね。
でも本当に得になるでしょうか?

たとえば、コーヒー1杯500円(原価30%)とします。
値下げ前の利益は350円

もし10%引きの450円にすると、利益は315円になります。

つまり同じ利益を出すには、約11%多く売らないといけません。
月に600杯売っていたお店なら、約67杯も多く。
これはけっこう大変です。

だからこそ、まずは値下げ以外の工夫を考えてみましょう。

  • メニューや盛りつけの見せ方を変える
  • 接客やサービスを強みにする
  • セットやコースで高利益商品と組み合わせる

「安くする」より、「価値を伝える」。
それが長く続くお店づくりにつながります。

4) 家賃は“高いか安いか”より“自分に合っているか”で決める

家賃は、お店の中でも特に重たい固定費です。
いちど契約したら簡単には変えられません。

よく「家賃は売上の10%が目安」と言われますが、京都では近年、家賃相場が上がっているので注意が必要です。
同じ10%でも、エリアの単価が低ければ負担が大きくなります。

だから大事なのは、その場所で自分のやりたいことができるかどうか。
たとえば、「お客さんとの距離感を大切にしたい」「地域の人と関わりたい」など、立地に合った物語を描けるかどうかです。

もちろん、契約前に家賃交渉をするのも大切。
すべてが通るわけではありませんが、長く経営する上で小さな調整が大きな違いを生みます。
「数字」だけでなく「覚悟」と「関係性」も一緒に考えるタイミングです。

5) 開業前に“小さく試す”ことが大切

お店づくりは、後から変えるのが難しいものです。
だからこそ、小さく試してみることが大切です。

たとえば、

  • 友人のスペースを借りて1日だけ出店してみる
  • ポップアップイベントでお試し営業をしてみる
  • 出張販売やキッチンカーなどで反応を見る

実際にやってみると、計画だけでは見えない課題がたくさん出てきます。
「思ったより仕込みに時間がかかる」「価格が高いと言われる」など、数字の裏にある気づきが見えてきます。

最近では、私たちが進めている空き家と宅建士をつなぐ「Akimii」というプロジェクトでも、「まず小さく作って試す」ことの大切さを改めて感じています。
お店づくりでも同じ。
いきなり大きく始めずに、確かめながら進む。これが失敗を減らすいちばんのコツです。

枯らし熟成焼肉つついで得た事務的な学び

7年間、数字と向き合い続けた焼肉店の経営。
素材やメニュー、人の動き、見せ方――何度も見直しを重ねました。
最終的には黒字化できましたが、そこにたどり着くまでの道のりは決して楽ではありませんでした。この経験から学んだのは、「どんな数字で進めるかを先に決めておく」ことの大切さです。
状況が悪くなると、「何とかしなきゃ」という気持ちが強くなり、冷静な判断が難しくなります。
だからこそ、感情に流されないための“数字の基準”を持っておくことが、自分を守ることにつながるのだと感じました。

まとめ

  • 数字はお店の“体温”。毎月同じ順番でチェックする。
  • 原価率はメニューの組み合わせで作る。
  • 値下げは最後の手段。まずは“価値を伝える工夫”を。
  • 家賃は「高いか安いか」より「自分に合っているか」で考える。
  • 開業前に小さく試して、実際の反応を確かめる。

個別相談のご案内

現在、現場対応が立て込んでおり、次回の財務セミナーの予定は未定です。
もし今回の内容を踏まえて、より具体的に自分のお店の数字を整理したいという方は、
事業計画書をお持ちのうえ、出店の個別相談にお越しください。

想定メニュー/席数・家賃・人件費の見込み/売上や原価の試算を一緒に見ながら、
数字の考え方をやさしく整理していきましょう。

次のステップへ

お店づくりは数字と感情のバランス。
焦らず、自分のペースで整えていきましょう。
数字は、あなたを縛るものではなく、安心して前に進むための道しるべです

今回セミナーに参加できなかった人も是非こちらからお問い合わせください。

一人ひとりに寄り添ったお店づくり。

それが、僕達が目指しているものです。