

2025年8月10日、店舗開業をめざす方に向けた少人数セミナーを開催しました。
参加者は3名。業種は飲食店1名、リラクゼーション2名。最初はお互い自己紹介をしながら、アットホームな空気感の中でスタート。でも、伝えるべきことはしっかりとお伝えしました。なぜなら、開業において一番大事なのは「事業計画書」だからです。
「事業計画書がない開業」は、羅針盤なしの航海と同じ
お店って、作らないと始まらない。
それは間違いない。でも、始める前に“どこに向かうか”を定めておく必要がある。
そのための羅針盤が「事業計画書」なんです。ワンピースの“ログポース”みたいなもの。迷ったとき、立ち止まったとき、戻れる“自分の地図”になるものやと思っています。
コロナ以降、スピード勝負から“熟成型”の開業へ
コロナ前の開業って、不動産が出たらすぐに決断しなきゃ取られる。だから「まず計画→物件→工事」の順で、一気に走る人が多かったんです。いわばスピード重視型。
でも、今は違います。不動産会社も金融機関も、じっくり確実に進める人に価値を見出すようになってきた。
だから私たちもセミナーで伝えているのは、
計画→物件→費用→また計画…という“螺旋階段のようなサイクル”で少しずつ精度を高めていくこと
時間がある今だからこそ、“じっくり、でも早く”進めるという柔軟な姿勢が求められていると感じます。
固定費ビジネスだからこそ、仮説と検証を繰り返す
今、スタートアップの世界では「リーンスタートアップ」という仮説検証の手法が当たり前になってます。
でも、それってアセットライト(固定費が少ない)なビジネスの話。
僕たちのように、物件を借り、内装を整え、人を雇う“アセットヘビーなビジネス”は、より慎重に仮説検証を重ねないとリスクが大きい。
だからこそ、
- 計画を書く
- 人に話す
- もう一度書き直す
- また誰かに話す
このサイクルを繰り返すことが何より大切。
できれば、場所を借りてのトライアル出店や、手づくり市など“小さく試す場”を活用するのもおすすめです。
セミナーで伝えた「事業計画書の本当の書き方」
セミナーでは、日本政策金融公庫の創業計画書を例に出しながら、事業計画書に必要な基本項目もお伝えしました。
- 開業動機
- 事業内容
- 顧客ターゲット
- 売上計画
- 取引先
- 必要資金と調達方法
でも、ここで伝えたのは、
このテンプレートだけじゃ全然足りないということ。
実は僕自身も創業時、日本政策金融公庫のセミナーに出て、中小企業診断士の先生に計画書を見てもらったとき、「この内容じゃビジネスも融資も無理」と厳しく言われました。
そこから半年間、毎月先生のところに通って、問われて、答えて、また修正して……最終的、50ページの事業計画書を完成させ、希望の融資を通すことができました。
50ページをつくる必要はありません。でも、フォーマットだけでは圧倒的に足りないし、伝わらないし、自分自身でも整理できない。
この視点が、一番大切なことだと思います。
「つくる→話す→つくる→話す」のサイクルが事業を強くす
事業計画って、誰かに見せるための書類ではなく、自分自身の意思を磨くための道具やと思っています。
だからこそ、「つくる→話す→またつくる→話す」──これを何度も繰り返す。
そしてそれは、お店ができたあとも変わりません。 僕も今、経営者として、本気で毎月計画を立てて、振り返って、次を考えています。
経営って、終わらない事業計画の連続なんやと思います。
僕がセミナーをやる理由
「自分の中でモヤモヤしていた部分などの答え合わせができました」 「まずは事業計画書にも手をつけていきます」 「またセミナーに参加したいです」
セミナー後にいただいたアンケートやGoogleビジネスプロフィールのコメント。 これが、僕の“やる意味”を思い出させてくれました。
たった3人でも、誰かが一歩踏み出すきっかけになるなら、僕はやり続けたい。
まとめ:「事業計画書=経営の羅針盤」
店舗開業は、夢が詰まったチャレンジ。でも、リスクも大きい。
だからこそ、最初に“自分の中の羅針盤”をつくっておくことが大切です。
迷ったとき、立ち戻れる場所。 誰かに聞かれて、きちんと話せる言葉。
それが「事業計画書」なんやと思っています。
これから開業を目指す方へ。 まずは書いてみましょう。 そして、誰かに話してみてください。
きっとそこから、何かが動き出します。
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