「多店舗展開を成功させるための秘訣とは?」 / 京都フルーツ大福 果寿庵 様 〜前篇〜

 

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現在京都市内だけですでに3店舗、そのほか福島、宮城、栃木、群馬、長崎など全国各地に計11店舗もの店舗展開をしている「京都フルーツ大福 果寿庵」。コトスタイルでは、京都本店の店作りをはじめ、計4店舗のリノベーションをお手伝いさせていただきました。

 

店舗を1つオープンする場合と、1つのブランドで複数の店舗オープンする場合とでは、リノベーションの進め方にどんな違いがあるのでしょうか。1つのブランドである場合、それぞれ物件に違いはあっても、同じ店舗であると認識してもらうため、デザインに共通性を持たせる、イメージがブレないように仕上げるなどコツが必要です。

 

今回は、果寿庵のビジュアルデザインを担当した垣花夏未さんと弊社スタッフの永澤が対談。他店舗展開を成功させるための秘訣について、お話を聞かせてもらいました。

 

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決断の早さがスピード感に繋がる

 

——弊社に多店舗展開のリノベーションでご相談をいただいたのが、2021年10月。11月にはお店をオープンしたいとのことで、かなりのスピードで進んでいきました。

 

垣花さん:
そうでしたね。物件はすでに決めていたので、リノベーションからお願いしたいと思ってコトスタイルさんに連絡を取りました。今回意識していたのは、おしゃれなお店を作れる工務店さんにお願いしたいということ。実は、他にも2社ほど見積りを取っていて、コトスタイルさんの見積りよりも安いところはあったんです。他店舗展開をする上でコストは安いに越したことはないのですが、そこは安さ以上の魅力を感じられず…。一方、コトスタイルさんのサイトを見ると、過去に手掛けた店舗も素敵で、ここなら私たちブランドがイメージする通りの店舗にしてくれるのではないかと思い、最終的にコトスタイルさんにお願いすることにしました。

 

——コトスタイルとしても多店舗展開を手掛けることは、会社としても貴重な実績になると思い、ぜひ協力させてもらいたいと思いました。実際にリノベーションの相談が始まってからは、「コトスタイル」対「垣花さん」というよりは、私自身も社員の1人になったような感覚で、密なやり取りがありましたね。

 

垣花さん:
ええ。永澤さんとは主にLINEでやり取りしていましたが、スマホを見ると永澤さんからのLINEが来ている感覚でした。その頃は、社内の人よりも一番やり取りが多かったのではないでしょうか(笑)

今回、私は果寿庵のロゴをまずデザインして、その後店舗のビジュアルも担当することになりました。グラフィックデザインはやっていても、お店の内装デザインを手掛けるのは初めてのことだったので、リノベーションの専門家である永澤さんが一緒になって作業を進めてくれたのは、本当に心強かったです。

会社側の意図を含めデザイナーである私の「こんな風にしたい」という思いと、実際に工事をしてくれる職人さんの間を、すごく上手に取り持ってくれたのが永澤さんでした。

 

——ありがとうございます。垣花さんの返信が早かったおかげもあって、作業も滞りなく進められたと思います。会社を代表して決断できる担当の方がいてくださったおかげで、各所に確認をする間、作業をストップすることもありませんでした。工期はタイトだったのですが、垣花さんはいつも即断即決で、その早さがスピード感のある作業に繋がったと思っています。

 

明確なコンセプトでブレずにリノベーション

 

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——また4軒のリノベーションを進める中で、弊社としてもとても助かったのが垣花さんが、ブランドのイメージをトータルで担ってくれていたことでした。今後のブランド展開をどのように見据えているか、軸がブレることなくしっかりと意図を伝えてくださったので、そのために何ができるのか、こちらとしても提案がしやすかったです。

 

垣花さん:
永澤さんとは週に2回くらいの頻度で会ってお話していましたね。私としては、デザインのことはいろいろ言えても、それを内装にどう反映していいのかは知識がなかったので、プロの視点からアドバイスをもらえたことが良かったです。

たとえばデザイン的にはこんなイメージの素材を使いたいけれど、食べ物を扱うお店ですし、清潔感はどうか、汚れにくさはないかといったことや、高級感のある素材はどれかなど、イメージを伝えると「これはどうでしょう」と具体案や明確な解決策を出してくれました。

 

——そうですね。求められることが具体的だったので、こちらもアイデアを出しやすかったです。物件の条件がそれぞれ違っていたので、リノベーションをする上でも、できることとできないことがありました。「果寿庵」さんの店の顔は「カウンター」で、フルーツ大福をカウンターの上に並べ、それをお客様に選んでもらうというスタイルです。ところが、三条河原町店の物件は広さがそれほどなく、ほかの店舗と同じようにカウンターを作ってその上に商品を並べてしまうと、レジ作業をするスペースが取れない。そこで、この店舗だけショーケースにして商品を見せ、その上でレジや包装といった作業をするという形にしました。

 

垣花さん:
そうですね。狭いスペースでも作業のしやすさまで考えて提案してくださいました。お店のリノベーションにかける予算もそれぞれ違っていたので、物件に合わせて、いろんな対応をしてくださったのは助かりました。

 

——高級すぎず和風な印象で、でも老舗のような信頼感のあるイメージなど、コンセプトに沿ったグラフィックデザインがすでにあったので、そのイメージを共有することで、内装にも反映。統一感のあるリノベーションができたのではないかと思います。

 

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多彩な物件のリノベーションで基礎デザインを掴む

 

——今回コトスタイルがリノベーションを担当した4軒は、それぞれベースとなる建物からして全然違っていました。まずは町家、それから大通りに面した路面店、オフィスビルの1階など、箱が違う中でブランドの統一感は出さなければいけないので、いろいろ試行錯誤していきましたね。

 

垣花さん:
ええ。まずは本店のある京都で全国展開に向けベースとなる店舗作りができればと考えていました。京都である程度、基礎となるデザインが掴めれば、それを参考に他のエリアでもお店作りをしていけると思ったんです。

なので、この壁紙はどんな質感なのか、モルタルや石材を使うと、店内はどういう印象になるのか、いろいろなパターンを見ることができたので、他府県でお店を展開する際もディレクションがしやすかったです。京都でのリノベーションを数店舗、体験していたおかげで、基礎となる知識を身につけられたなと思っています。

 

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——なので、あえて京都の4店舗は全く同じイメージに仕上げるということはしませんでしたね。「果寿庵」さんは、テイクアウト専門なので、どのお店にも客席はなく、よくある飲食店とも少し違ったリノベーションとなりました。

 

垣花さん:
はい。カウンターがお店の印象を左右する顔となるので、ここをどんなデザインにするかというのが、大きなポイントだったかと思います。本店は建物が京町家だったので、和風の「老舗」感がある店舗になるようお願いしましたね。カウンターは真っ白にしてもらい、木目の天板にして、町家の雰囲気に合わせてもらいました。

 

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一方、二条店はモダンな印象にしたくてカウンターには人工大理石を使ってもらいました。一面グレーの壁で、とてもシックな仕上がりになったかと思います。

 

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またコンクリートのような質感のモルタル壁にした店舗もありますが、そうするとスタイリッシュな雰囲気になることも分かりました。

 

床一つとっても、白色は清潔感が出せるけれど、汚れが目立つといったことや、素材の強み、弱みについても丁寧に教えてくれました。経年劣化するけれど、それが味になるなど、永澤さんがいろんな情報を提供してくれたので、その上で何がいいのかを判断することができました。

4店舗それぞれあえて違った雰囲気のリノベーションをする中で、各店舗「こんな質感になる」と、実際に把握することができたので、次に別の物件をリノベーションする際も、この建物ならこの壁で、この立地ならこんな雰囲気に…など、迷いなく判断できるのではないかと思っています。

 

——各店舗の雰囲気は違えど、ブランドのベースとなる信頼感や和のイメージは統一できたかと思います。今回のリノベーションが、今後のさらなる展開にも役立てそうとのこと、コトスタイルとしても嬉しく思います。垣花さんのお話は、これから複数店舗を経営したいという方にとっても多いに参考になりそうです。

 

垣花さん、貴重なお話をありがとうございました!

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多店舗展開における環境を生かした デザインバリエーション フルーツ大福 果寿庵 様②

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